「味噌は生き物」…伝統製法を守りながら進化を続ける、まるや八丁味噌のバランス感覚

愛知県岡崎市の伝統食「八丁味噌」。 まるや八丁味噌は延元二年(1337年)創業。江戸時代からの伝統製法を守りながら八丁味噌を作り続けてきました。また、当時オーガニックの意識が低かった日本で、1980年からオーガニックにこだわった味噌作りを行いアメリカに輸出するなど、いち早く海外に目を向けた企業でもあります。 今回の記事では、まるや八丁味噌で19年勤務されている石原さんに、 ルーツや商品に対する想いなどを聞かせていただきました。

実直に味噌と向き合い、地道に良さを伝えていく

―まるや八丁味噌さんについて教えて下さい。

まるや八丁味噌は、1337年創業と言われていまして、八丁味噌としては江戸時代から作り続けている会社です。

八丁味噌の名は、愛知県岡崎市の岡崎城から西に八丁の距離にある八丁村で作られたことが由来になっていて、家康公が江戸幕府を開府して、取り寄せた味噌が八丁味噌だったと言われています。

八丁味噌イメージ 樽 3

―本当に歴史が長いんですね。石原さんはまるや八丁味噌で勤めてどれくらいなんですか?

中途入社で19年くらいまるや八丁味噌にいます。
その前はぜんぜん違う業界で、ホテル業界にいましたが、八丁味噌は地元の産品として日常的に食べていました。
入社したのは、ご縁なんですけど、同じ町内に今の社長のお姉様が住んでいたんですよね。
それでたまたま私が転職先を探していたのをご存知だったので、社長と面談して営業として採用となりました。

―八丁味噌は知名度が高いと思うのですが、味に個性がありますよね。
 私も愛知県出身なので八丁味噌はいつも使うのですが、味を知らない人に知ってもらうのは大変でしたか?

日本全国、各地元に味噌ってあるんですよね。
特に八丁味噌は色が濃いので、白味噌・米みその文化のところに持っていくと「コレほんとに味噌なの?」「味が濃そう」など言われたのは大変でした。
手にとってもらうまで、色が濃いから味が濃そうというイメージがある事がわかりました。

それでも、歴史とか作り方とかバックグラウンドを説明しながら少しずつ理解してもらってまずは食べてもらう。という感じで少しずつ広めていきました。

―お客さんはどんな方が多いんですか?

普段から家庭で使われる馴染みのお客様や飲食店が多いです。
特に料理人さんなんかは昔から使われて、京都で修行されると、修行されたお店で八丁味噌をつかっていれば、またそこから独立したときも同じように使ってもらえたり…
人と人とのつながりで量が増えたりもします。

知り合いの料理人さんは、「夏は八丁味噌に限る!」とよく仰っていましたね。
八丁味噌って、お米を使っていなくて甘みは乏しいんですけど、独特の渋みがあるんですね。
なので夏のお味噌汁はさっぱりするんですね。
同じ理由で天ぷら屋さんやお寿司屋さんも後味が、油が流れるので使っていただいています。

―八丁味噌の特徴はどんなところですか?

基本的に味噌の8割は、米みそなんですね。
残りの2割が八丁味噌を含めた豆味噌・麦味噌なんですけれども、豆味噌の中でも特殊な作り方をしています。
大豆麹を使うんですが、ながーい仕込みをしたり、木の桶を使って石を積み上げて、2年以上天然醸造する。
そういう昔からの伝統や味を守っているお味噌ですね。

東蔵3 425
2年間、この状態で味噌は眠り続けます

―大きな桶に石が積まれているのは有名ですよね。創業当時からの作り方を守っているんですね。
 その作業ができるのはやはり、修業を積んだ職人さんなのですか?

そうなんです。石積みを職人扱いしているんですけども、下から上までキレイに詰める人はまるやでも2名だけで。
今は20代の子もいるんですが、修行中ですね。

自然の丸い石を使うので、この桶にこの石っていうのが決まっていないんですよね。
しかも一旦積んだら2年は全く触らないから、10年くらい修行して職人の経験と感がないと、バランス良くきれいに積めない。
積んでからは絶対に崩れてはいけないので常に均等に重力がかかるような積み方が必要になってくるんです。

今の親方も本番で積ませてもらえるまで7年かかったそうですよ。(笑)

八丁味噌の掘り出し3
八丁味噌を掘り出している様子

―長い道のりですね。職人というか、もはや芸術的というか。

根気と精神力がいりますね!
でも、味を守るためには製法もなるべく変えてはいけないと思うので、若い世代も育てていきたいです。

時代が変わっても、地元全体で伝統を守り、継承していく

―まるやさんの一番人気の商品はなんですか?

やっぱり人気なのはやっぱり八丁味噌ですね。
最近は、少量の300gカップのものが特に人気です。家庭で使う量も少しずつ減っているのが、時代の流れかなと思います。

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▼八丁味噌の味を多くの方に知っていただきたい

まるやのみそだれ(大)

八丁味噌に甘みを加え、簡単かけるだけの味噌ソースに仕上げました。

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▼八丁味噌の味を多くの方に知っていただきたい

まるやのみそだれ

八丁味噌に甘みを加え、簡単かけるだけの味噌ソースに仕上げました。

―生味噌以外にも、色々な味噌を開発されていますよね

はい。
近年、人々の食生活も変わってきて、しっかりと作る人と、核家族になって簡単にぱぱっとやりたいなという人と二極化しています。後者の方向けには味噌ダレとか、パウダータイプのお味噌とかを開発しました。

商品イメージ
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▼八丁味噌の味を多くの方に知っていただきたい

まるやのみそだれ

八丁味噌に甘みを加え、簡単かけるだけの味噌ソースに仕上げました。

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▼八丁味噌を使い易くパウダー状に仕上げました

八丁味噌の香味パウダー

今までお湯に”溶かす”、食品に”漬ける”といった使い方が主だった味噌が”ふりかける”タイプになりました!
ジップ形式のパッケージで手軽に使えます。
お味噌従来の使用方法はもちろん、デザートにふりかけてもアクセントとして美味しくいただけます!

―開発はどれだけ時間がかかったんですか?

例えば、味噌ダレ。
本来はご家庭で味噌とみりん・砂糖で甘い味噌を作ってもらうんですけど、どうしても一手間がかかってしまうので、まずは導入として八丁味噌の風味を味わってもらいたいな~と思って企画しました。

味としては、まるやの社員の家庭で作る味を再現したくて、それをベースにつくりました。なので、味は決めるのは早かったです。
主婦の人に何種類か作って持ち込んでもらって「この味で行こう!」みたいな。

―商品を使ったレシピ開発も積極的に行っていますよね。

味噌を使ったレシピは、全て自社で開発しています。

たまたま一般の主婦の方から、八丁味噌がすごく好きですということで、一回お手紙を頂いたことがありまして、ちょうどCookPadさんからレシピの企業ページを作らないかというお話があったので、その方にレシピ開発を依頼しました。
その方は本当に味噌が好きなんですね。その思いが強くて沢山レシピを頂きまして、今は900レシピを超えました。

特に先程少しお話したパウダータイプなんかは、使い方がわからない方も多いと思うので実用的なレシピがあると助かります。

★まるや八丁味噌の料理レシピ 一覧はコチラ

料理教室3
お料理教室の様子、食育にも力を入れています

―ちなみに石原さんおすすめの食べ方はなんですか?

おすすめですか?
意外に美味しかったのが、ミラノ万博の際に開発した試食で、リコッタチーズに生の八丁味噌をちぎって入れて混ぜたものを提供したら、さっぱりして美味しいと大変いい評価をいただきました。発酵食品同士なので相性が良かったです。

他にはチョコレートの隠し味に使ってくれたメーカーさんですとか、地元のドーナッツ屋さんが使ってくれていたり、思わぬところで活用してくださる方もいて、そんな時はできる限り一緒に開発しています。

―他に、まるや八丁味噌が積極的に取り組んでいることはなんですか?

一つは三河プロジェクトです。
伝統的なものをあとに残したい思いから、地元の原料だけで商品づくりをしています。
江戸時代は地元の大豆と地元の水を使っていたんですが、今は様々な産地の原料を使っています。
それに立ち返って基礎からやり直そうということで、地元の大豆と、岡崎市内の酒屋さんから頂いた湧き水ではじめました。

きらり祭り2
巨大な味噌桶は、子供が10人入ってもまだまだ余裕があります

あと工場見学は、積極的に行っています!通年であれば年間5万人のご来場があります。

そういう意味では、岡崎の地域貢献になるんですかね?

皆さん八丁味噌の名前は知ってる方多いんですけど、実際はどういうお味噌でどんなふうに作っているのか、なかなか言葉だけでは伝わらないので、岡崎周辺に来た際は寄っていただければ、桶の質感とか伝統的な製法とか見ていただけるので、八丁味噌の文化を伝える上では大変役立っているかなと思います。

インバウンドも、中国とか台湾の方が来られることがありますけども、ヨーロッパの方も多いです。伝統的なものが好きな方が多いので、少人数でフラっと見に来ますね。

早くからオーガニックに目をつけ有機味噌の先駆者となった

―まるや八丁味噌さんは1960年からどの様な経緯で海外輸出を開始されたのですか?

当時海外輸出はすごく大変だと言われていたのですが、八丁味噌は賞味期限も長く、赤道を通る船便でも腐りにくいため、海外に持っていっても味が悪くならなかったことから、日系の方が海外に進出する際に人と一緒に動いたというのがスタートだと聞いております。
現在は、20カ国へ輸出をしております。

―また1980年代にはアメリカの有機食品認証期間のOCIAの認証を取得したそうですが

はい。
現在の社長が若い頃にドイツに在中しておりまして、ドイツの質素だけど豊かな生活に感銘を受けて「オーガニック」に出会いました。
日本でまるやに入社してから、アメリカのオーガニック認証を取得し、アメリカ・ヨーロッパ向けにオーガニックの八丁味噌を売り始めたのが本格的な始まりでした。

オーガニック市場のお客様は考え方が「マクロビオティック」「ビーガン」みたいな、健康に気を使う方が多いので、健康食品として味噌が広がったんだと思います。
日本食=ヘルシーだし、長寿のイメージがありましたので、食事療法の中でお味噌があったんでしょうね。

―日本でも、その後有機JASを取られたんですね。

極論をいうと、江戸時代の頃はすべての商品が有機だったと思うんですけど、基本的には昔ながらの製法で味噌を作りたいというのと、オーガニックや有機JASの認証は、一つの品質の目安になるので、お客様にわかりやすい目安をつけたいという社長の考えで取得しました。

日本国内では、有機JASの工場認定を2003年に取得したんですが、それ以前は有機JASがなかったので、まずは海外から始めて国内で制度が整ってから国内向けの物を販売しました。逆輸入ですね。(笑)

ORGANIC Hatcho Miso W2

―需要が高ければ、国内外問わず、チャレンジをされてきたのですね。
 
では、これからチャレンジしていきたいことは何でしょうか?

まず、味は守っていきたいと思っています。
そのためには、製法もなるべく変えないことが重要だと思います。
味噌は生き物なので、環境が変われば味も変わります。

八丁味噌を作るときに大きな味噌玉を作るんですが、その中には蔵に住み着く酵母や乳酸菌も入り込みますので、それらが変わってしまうと、味に影響がでますので製法は変えないように気をつけています。
とはいえ、従業員の入れ替わりなどもあるので、やりやすい環境を作るためにバランスを取りながら機械化を進めています。

―今後やっていきたいものづくり、商品作りはどんなものですか?

まず八丁味噌はぶれない芯として作っていきたいです。
それに派生する商品はその時のニーズに合わせて手を加えていきながら作っていきたいです。いい商品を作っていくためにも柱となる八丁味噌はしっかりと、変えずにいれたらと。
また、色々なメーカーさんとコラボして、お味噌を原料とする加工品も作ってきたいです。

きらり祭り4

―最後に、今後の味噌業界発展について一言お願いいたします。

味噌業界全体の統計的出荷量は決して増えてはおらず、減少傾向にあります。
その中で各メーカーさんは、独自の手法を出そうと頑張っているし、味噌加工品も開発されています。なかなか生味噌だけでは苦しいと思っています。

変えないことは、簡単で難しいところだと思っています。

長い歴史の中で、私が携わっているのは本当に僅かな時間ですので、バトンを受けている状態と思って、次の世代へ伝統的な八丁味噌を渡していくのが役目だと思っています。
おごることなく、淡々と取り組んでいければと思っています。

―貴重なお話ありがとうございました!

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みそカツ、田楽味噌、みそ煮込みうどんなど、愛知県の食文化に欠かせない「八丁味噌」。
まるやの八丁味噌は国内だけでなく、健康意識の高い海外でも日常食として取り入れられています。有機栽培やマクロビオティックなど、これから日本でも注目される要素がたくさんあり、これからも要注目の企業さんです!(服部)

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