バイヤーズキッチン
バイヤーズキッチン

バイヤーズキッチンは、本当に売りたいメーカーと、商品を求めているバイヤーさんだけが参加する

メーカーインタビュー 藤田観光りんご園

藤田観光りんご園・藤田史子さん(右)卓さん(左)。

茨城県大子町でりんご園を営む藤田観光りんご園さんは、りんごの栽培の他にも、アップルパイの製造を手掛けています。アップルパイは地元を中心に販売していましたが、好評なので首都圏にも販路を拡大したいと考えたそうです。
「茨城おみやげ大賞2016」で金賞を受賞した際、日庄と出会ったことからパッケージのリニューアルを依頼。新しくなったパッケージで2019年、バイヤーズキッチンに出展されました。
1日だけの出展でしたが、三越伊勢丹の通販部門や、関東近郊のお店などとの取引先が増え、売上は2~3割増しになったと言います。
藤田観光りんご園さんへ、バイヤーズキッチンに出展された経緯からその効果までを伺いました。

60年もの歴史があるりんご園のアップルパイ

──藤田観光りんご園さんについて教えてください。
藤田観光りんご園は、茨城県久慈郡大子町浅川の丘の上にあるりんご園です。育てているりんごは50品種以上で、「つがる」「紅玉(こうぎょく)」「秋映(あきばえ)」「シナノスイート」「陽光(ようこう)」「ぐんま名月(めいげつ)」「シナノゴールド」「こうとく」「ふじ」などがあります。
栽培するようになったのは、昭和34年(1959年)からだと聞いています。なので始まって60年くらいになります。

──歴史があるんですね。
大子町でりんごを始めた初期のグループだそうです。今では古いりんご園のひとつです。
昭和40年(1965年)後半頃からりんご狩りにも取り組むようになり、毎年、9月下旬から11月末まで、期間中無休で営業しています。また、昭和60年(1985年)頃からりんご狩りと一緒に常陸牛のBBQも提供するようになりました。JR常陸大子駅からタクシーで約10分の距離なので、沢山のご家族やご友人たちのグループで楽しんで頂いています。


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りんごの木々が一面に広がるりんご畑は、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだようだ

──アップルパイの製造を始めたのはどうしてなのですか?
平成16年(2004年)に菓子製造業の許可を取り、加工品の製造と販売を手掛けるようになりました。当時、大子町のりんご農園は60軒ほどがありましたが、加工品を製造しているのは、青森県などの他の産地に比べると少ない状態でした。なので加工品が出来ないかと考えたのです。
なにしろ、りんごは9月下旬から11月末までの期間限定の果物です。収入があるのはその間だけ。私は会社で働いていて、こちらにお嫁に来たのですが、もっと安定した収益が欲しいと思いました。それに、子どもが生まれると育児でりんご園を手伝うことが難しくなったので、子どもを側に置いて、目の届く範囲で出来る仕事はないかと考えたんです。

──アップルパイの生産量はどれくらいなのですか?
ホールサイズ(2700円/税別)とハーフサイズ(1350円/税別)の2種類があります。
最初はひとりで製造し、近くの道の駅に5ホールくらい販売するところから始めました。それが毎年、100ホールずつ増え、特にこの5~6年で一気に増加して、現在は約1万5千ホールを製造しています。もちろん、私ひとりでは出来ないのでスタッフを雇用していますし、設備投資もしてきました。

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りんごがぎっしり詰まった自慢のアップルパイは、時期により使う品種はさまざまだが、紅玉なら4~5玉、ふじなら2~3玉も使われている
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りんご園の敷地内にある加工所でアップルパイ作りに励むスタッフの皆さん

指示に従って準備をするだけだったのでスムーズに出展できました

──バイヤーズキッチンを利用しようと考えたのはどうしてなのですか?
今まで地元を中心に販売していたのですが、首都圏に販路を拡大したいと考えたからです。
丁度、茨城県が企画する「茨城おみやげ大賞2016」で金賞を受賞したさい、バイヤーズキッチンを運営する日庄さんを知りました。バイヤーズキッチンは私が会場に行かなくともPRをしてくれて、バイヤーさんに試食を提供してくれる。そこに魅力を感じました。

──それまでも展示会などには出展されたことはあるのですか?
出展料を茨城県が補助してくれる制度を活用して、個人ではなかなか参加できないようなアグリビジネスの大規模商談会に2016年と2017年に出展したことがあります。他にも銀行が主導する茨城県・栃木県・群馬県の3県の商談会にも2回ほど出しました。出展したことで新しい取引先が出来たということはあります。

──展示会の効果があるのは解っていたので、2019年6月21日のバイヤーズキッチンに出展されたのですね。当日までの準備はどうでしたか?
当日までのスケジューリングから準備するもののチェックリストも事前に送ってくれていたので、私はそれに沿って準備するだけでした。ディスプレイの参考写真もあったのでイメージも掴めましたし、バイヤーさんが興味を示す紹介の仕方もアドバイスして頂けました。
商品サンプルはホールとハーフを3点ずつ、試食品は50食を、こんな状態で送ればいいと的確な指示があったので、とてもやりやすかったです。
後で頂いたブースの写真を見ると、小さなスペースながら、「藤田観光りんご園」のパネルも作ってくれて、バイヤーさんが興味を持つように展示してくれていることに感心しました。

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出展したバイヤーズキッチンの藤田観光りんご園ブースの展示スペース。スタッフが展示・POP作成まですべて行う

──大きな商談会にも出展されていますが、比較していかがでしたか?
それまでの商談会ではやり方を誰も教えてくれませんから、何を準備すればよいのかも解りませんでした。後で「こんな資料を用意しておけばよかったんだ」と後悔することもありました。それが、バイヤーズキッチンだと指示に従うだけでスムーズに行きます。
それに、個人のブースでは展示のプロが作ったブースと圧倒的な差が出ます。紹介のパネルも作りましたが、他と見劣りするというか、展示のプロとの違いをまざまざと見られました。展示の見せ方が上手い方がバイヤーさんの目に留まりやすいでしょうが、当然費用も掛かります。
その点、バイヤーズキッチンだと同じ枠の中で同じように見せるので、差が出ず良いと思いました。
また、大きな商談会では試食品を500個用意しましたが、それでも足りませんでした。でも、個数を決めないと際限ありません。コストもかかります。それがバイヤーズキッチンだと50個で済む。とても楽でした。

──バイヤーズキッチンに出展して結果はいかがでしたか?
1日だけだし、実際のところどうなのかな、という気持ちは正直ありました。でも、バイヤーさんからのレスポンスもありましたし、つながった会社さんもありました。良い方の想定外でした。
私たちとしては「商品に興味を持ってくれるバイヤーはいるのかな」ということだけが一番の心配事でした。なので反応があったことがとても嬉しかったんです。
バイヤーズキッチンは私が行かなくとも、スタッフの方が私の言いたいことを代弁してくれるのがポイントだと思うのですが、そのためのヒアリングも熱心にして頂きました。それが、私が思った以上の成果が出た理由だと思います。「もしかすると私がいなかったのが良かったのかも」と思うほどです(笑)。
それに、藤田観光りんご園は茨城県の北の端の方なので、東京を往復するだけでも交通費がかかります。行けば買い物もしてしまうでしょうから、コストパフォーマンスは良いと言えます。

──最も良かったのはどういうところですか?
バイヤーさんがアンケートに感想をちゃんと書いてくれたことです。「美味しかった」という感想はありがたかったですが、「味を少し工夫した方がいい」とか「食べやすいサイズにすれば」というアドバイスも頂けました。
そのご意見を改善点と受け取るだけでなく、「そこにビジネスチャンスがある」と考えることができます。つまり、同じご意見を持つ方に対して商品開発が出来るというか、新しいマーケットがあるということです。
それに、バイヤーズキッチンに来るバイヤーさんはとても好意的な方が多いと思いました。大きな商談会ではアンケートを取るだけでも大変ですし、このような率直なご意見は集まらないと思います。


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実際に使用したアンケートの原本(抜粋)。バイヤーの率直な意見を聞くことができて参考になる

バイヤーズキッチンに出展して売上が拡大

──商談は上手く行っているのですね。
バイヤーズキッチンに出展したことで売上が2~3割増しになりました。三越伊勢丹さんという大手百貨店の通販部門や、関東近郊のお店などのお取引先が増えています。若い女性をターゲットとしたバイヤーさんで、今までの商談会ではつながれないような分野に参入できました。
また、「冷凍での流通を増やせないか」とのご提案があり、それを今考えているところです。バイヤーズキッチンを通してヒントを頂けたのは大きなメリットでした。

──アフターフォローはどうされていますか?
バイヤーズキッチンからアドバイスを受けたこともあり、感想を頂戴したバイヤーさんにお礼のメールを送信し、アポが取れた2社に商品を持ってご挨拶に伺いました。また、こちらにいらっしゃったお店の方もいます。その方は産地の状況を見たいということでした。
大きな商談会では名刺だけなら200枚、300枚と集まります。しかし、来場者は調査目的の方が多く、具体的な商談に入るのは少ないものです。関心が高そうなバイヤーさんであっても直接、お会いするところまではなかなかいきません。私としても2、3年かかって1社とつながればいいくらいのつもりですが、意思疎通が出来てマッチングできる可能性は低いのが現実です。
でも、バイヤーズキッチンは率が良いというか、本当に売りたい私たちのようなメーカーと、商品を求めているバイヤーさんだけが参加するのでマッチングの成功率は高くなるという印象です。

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バイヤーズキッチンがきっかけで大手百貨店・三越伊勢丹が運営する宅配サービス「ISETAN DOOR」での取扱が開始。カットサイズでの流通のためISETAN DOOR用の箱も作成した
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京王百貨店新宿店でのハロウィンフェアにも出展。最終日に伺った際にはアップルパイが完売という盛況ぶり!

──パッケージもリニューアルされましたね。
首都圏に販路を拡大するためには、パッケージも新しくする必要があると考えました。バイヤーズキッチンに出展する前後に日庄さんでデザインも出来るというのでお願いしました。
私はデザイナーに丸投げはしたくなかったので、一度、お会いしました。県の事業の一環で実施したので、日庄さんと一緒に有名なデザイナーの方もわざわざ茨城県まで足を運んでくれたのですが、私は話が合わなければ、有名な方でもお断りしようと思っていました。するとデザイナーの方は、おばあちゃんがみかん園をやっていて田舎をよく知る方でした。「この方で大丈夫だ」と思いました。それで私は「こうして欲しい」ということをたくさん喋りました。

──デザインはいかがでしたか?
私が求めているものを仕上げてくれました。私がこだわりたかったのは、「藤田観光りんご園のイメージ」を伝えることでした。
パッケージの「赤」は、やはり、りんごといえば「赤」というイメージがあると思うので、それを全面に打ち出したかったんです。それと側面の「肉厚のりんご」も見せたかったポイントです。
私たちのアップルパイは、大きなりんごが入っていることがコンセプトです。大きいため、包丁で切って頂くとダイナミックな断面が出てきます。
元々のパッケージは、透明のプラスチック容器に入っていて、断面が見えました。それを再現してくれたんです。最初、側面を透明のプラスチックにすることも考えましたが、プラスチックが問題となっている今、地球環境を考えると、私たちにはふさわしくありません。それでも「肉厚」を見せたいことはこだわりました。難しいだろうなと思ったのですが、見事に解決してくれました。
りんごの木があってその周りに動物たちがいる、というマークは前にデザインしたものですが、それをより印象深くリニューアルしてくれました。

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リニューアル前のプラスチック容器に入ったアップルパイ(中央)。中身が見えて良いという声もあったが、販売を希望する売り場のイメージに合っていなかった

──今後の計画を教えてください。
私たちのアップルパイは手作りなので、今のままでは生産数は限界です。また、りんごが収穫できない時期は売上も下がってしまいます。でも、冷凍での流通を増やして行ければ、販路が広がり新たなお客様を増やすことができます。そうすれば従業員にも安定して働いてもらうことにもつながります。なので、今は年間を通した生産体制を作ることが目標です。


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リニューアル後のホール箱(左)とハーフ箱(右)。赤箱を全面に押し出し、アップルパイの美味しさとりんご園の魅力がより伝わるデザインに

──また、バイヤーズキッチンを利用することはありますか?

アップルパイとは別に、材料としてのりんごをPRしたいと考えています。1次加工のノウハウがあるので、家庭用にアップルパイを作るキットみたいなものを販売するとか・・・。そのときはまた、バイヤーズキッチンに助けて頂きたいと考えています。

──ありがとうございました。

(ライター:大橋博之)

事務局スタッフのコメント

藤田観光りんご園さんとはバイヤーズキッチンにご出展いただく前から一緒に取り組ませていただいていましたが、商品自体の魅力はもちろん、藤田さんご自身のりんご愛あふれるお人柄も魅力的で、お話する度に私自身も元気をいただけます。バイヤーズキッチンでは、商品のヒアリング等直接お会いできなくとも丁寧なサポート・フォローを心がけています。安心してご出展いただけるよう、スタッフも一丸となって取り組ませていただきますので、お気軽にお問い合わせください!(スタッフ:谷口)

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これまで制作してきたパッケージやパンフレット等。りんご園ブランドの統一感を心がけている


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