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廃棄物だった骨が栄養満点のスープに!『余りもの』を製品化してきたマザーフーズの原動力とは?

想いのバトン

廃棄物だった骨が栄養満点のスープに!『余りもの』を製品化してきたマザーフーズの原動力とは?


SDGsといった目標が掲げられている昨今、無駄のない食の在り方が課題になっています。今回は手羽トロ唐揚げやその骨を利用したボーンブロスなど、鶏を余すところなく利用されている大阪市にある株式会社マザーフーズの磯様にその原動力などお話を伺いました。
余りがちな手羽元の肉を活用し人気商品に


━━まずお聞きしますが、マザーフーズとはどんなメーカー様でしょうか

私どもは鶏肉専門の加工業でして、そもそもは焼鳥の串打ちを請け負うことからスタートしました。しかし、手羽元の肉はとてもおいしいけれど、食べにくい。業界で余りがちでした。そこで、骨を抜いてみたら食べやすいと考えて、骨を抜いてみました。
その肉を唐揚げにしたところ、とてもトロトロとしていて、モモでもないムネでもない別のジューシーな味わいがあるとご好評いただきました。そこで「手羽トロ唐揚げ」で商標登録をとり、差別化しております。
今回インタビューのきっかけになりましたボーンブロスは、その手羽元から抜いた骨を原材料とした出汁(スープ)です。


━━手羽トロ唐揚げは、どこで販売されているのでしょうか?

外食産業さんがメインです。チェーン居酒屋様などに、そのまま揚げる・焼くだけで出せる状態でお納めしております。
工場が尼崎にあり、都市部に非常に近く、冷凍だけでなくてチルドで配送ができるということで便利に利用していただいています。


━━販売されている中で人気の商品とは?

やはり手羽トロ唐揚げが人気ですね。部位が一般的ではないので、味わいが違うというところでご好評いただいています。


━━あまり見かけないということは、やはり骨を取るのが大変なのでしょうか?

初期は手で捌いていたのですが、労力のわりに、あまりにも捗りませんでした。
しばらくして骨を抜く機械が開発され、即導入。量産ができるようになり、大手のチェーン店様にも納入できるようになりました。


鶏を余す所なく使いたい想いから生まれた新商品:ボーンブロス





━━それでは本題に入りますが、ボーンブロスとはどういった経緯で開発されたのでしょうか?

骨を抜く機械で手羽トロを「大量に納入できる」イコール「大量に骨が出る」ということになりました。
それらが廃棄物になってしまうというのが、弊社の代表にとっては、とても心苦しいことでした。鶏の命を頂いて商売しているのだから、すべての部位を余すところなく使いたいという意向があったのに、骨を捨てるのは本当に辛い。そんな思いからのスタートだったんです。で、骨をなんとか活かせないかと模索していましたところ、たまたま従業員の一人が手羽元の骨が欲しい、捨てる前にもらえないだろうか、と社長に打診がありました。何に使うのか尋ねたところ、ボーンブロスを作っている、とのこと。体の弱いお母さんのために作っているというのです。そこから、「ボーンブロス」ってなんだ?と調べ始めました。
アメリカから本を取り寄せて調べてみると、欧米の家庭では1960年半ば以前には、家庭のストーブの上やコンロで、牛や豚や鶏などの骨を煮出したスープを普段から炊いていた。出来たスープを冷やして、上に固まった脂分をとってしまう。そうやって栄養分がたっぷり、でも脂は少ない、栄養はあるけども胃腸にやさしい出汁がとれるスープを家庭で作っていた、と本に書いてありました。
体の具合が悪いときに、日本人ではおかゆが定番ですが、欧米の家庭ではボーンブロスで栄養補給していた、とも書かれていました。
社長にすれば、従業員のお母さんが元気になったら嬉しい。骨が活かせるのも嬉しい。そこで、手羽元の骨でボーンブロスを作ってもらい、実際に自分でも飲んでみることにしました。
不思議なのですが、ちょうど同じ時期に、ニュースで「ボーンブロス」という言葉を聞くことになります。ボーンブロスは、インスタント食品の台頭などで、現代にそぐわなくなり、ほとんど忘れられていたのですが、ニューヨークのブロードというお店でテイクアウトできるボーンブロスを売り出したところ好評、というニュースだったのです。それにも勇気を得て、その従業員がいろいろと工夫して作ったレシピを、私共が引き継いで、開発に繋がった、という流れです。


━━社風から頂いた命を全部扱いたいとか、健康を大事にしたいなど、日々の生活や命というところを大事にした観点から食品作りをされているのかなと感じましたが、やはりそこはその社長のお考えが従業員の方々に伝わってというところなんでしょうか?

そうですね。弊社の代表には、困っている人を助けたいという気持ちがベースにございまして、手羽元から骨を取ったら食べやすくなるという発想も、人助けが根底にありました。当時、食べにくさが原因で、手羽元は、あまり人気がなかったんですね。それで何とかならないか、という業界の愚痴に近いお話からの発想でしたし。その他にも、鶏の肝もいわゆる一般家庭で日々食べるものではない。もっと食べてもらえるように、何とかならんかとご相談いただいて、しっかり柔らかく、臭みなく味付けをした鶏の肝煮を開発しました。ちょっとみんなが困っている物を、うまく加工して、すごく喜んでもらえるようにしたいという気持ちがベースになってると思います。
もともと弊社代表は、鶏の専門の修行を受けたわけでもなく、人様のご縁でこの仕事に就きました。そこで、まず産地に赴き、生産者の方と直接お会いすることから始めましたが、そこは鶏を捌く場所でもあります。そこでは鶏が、加工される直前、本当になんとも表現できない声で鳴くんだそうです。その声はかなり衝撃的で、この先もずっと心に刻んでおこうと決意したということです。自分たちは、この鶏の命をいただいて商売させてもらうんだと、あの鶏の鳴き声を忘れまじ、絶対に無駄にしてはいけないと強く誓ったというふうに、聞いております。
そういう思いが社員にも浸透しているという感じがございますね。無駄にしてはいけないですし、何かに使えるんじゃないかという発想につながるベースになっていると思います。


従業員の家族の体験が開発の原動力に!






━━では御社のエムボーンブロスにはどのような栄養成分がございますでしょうか?

栄養価に関しては最初、半信半疑だったので、早い段階で第三者機関に分析を依頼しました。その結果、商品160g単位で、タンパク質含有量が卵一個よりも多いがカロリーは少ないことがわかりました。コラーゲンも6,720mg含まれており、例えば筋トレに人気の鶏のむね肉一枚の、およそ4倍以上の数値です。鶏むね肉を一人で一枚食べると考えると、毎日続けるのは難しいですが、エムボーンブロスなら、カップ一杯飲むだけです。また、人間の体を作る20種のアミノ酸すべてが含まれていることも確認できました。
さらに調べると、抗酸化物質イミダゾールペプチドというたんぱく質が144mg入っていることもわかりました。1日に200~225mgを継続的にとると疲れにくいという研究もあり、エムボーンブロス一袋でその7割ぐらいが摂れる計算になります。


━━実際にご提案された従業員のお母さまはお飲みになったりしたのでしょうか?

はい、毎日試作すると結構な量ができますから、お母さんはずっと飲まれて、体の具合は良い方に向かったんですね。 製品化する前の段階でしたから、抽出の方法もまちまちで、今ほどの濃度ではなかったと思うんですけど。うちの従業員も社長も飲みました、
それぞれ、いい変化の実感を持てたことで、開発に拍車がかかりました。ただその時点では、科学的な数値を出したわけでもなく、あくまでも個人的な感想でしたので、広くは申し上げておりませんけれども、信念をもって研究開発を続けられた原動力になりましたね。


━━お客さまからはどんなお声がありましたでしょうか?やはり体の調子がよくなった経験で飲み続けられているかたが多いのでしょうか?

そうですね、それ以外にもトレーニングを一生懸命されているかたもいらっしゃいます。身体・筋肉を、大きくする、強くする目的でトレーニングするのは、同時に筋肉を痛めているというか、傷つけているということにもなります。それを修復するための原材料を体に入れたいと考える方は、食品一袋で、これだけのタンパク質、コラーゲンが摂れるならありがたいと、非常に評価していただいて、続けていただいています。


━━健康に気を使っていたりとか、やっぱりトレーニングに加えてきちんと栄養を取りたいみたいな。そういった方には特に、脂が少ないところがいいですよね。

そうですね。タンパク質が多く含まれている食品は、同時に脂も多いことがありますから。その脂をこちらであらかじめ取り除いておりますよというのが、この商品の1つのアピールポイントですね。天然の食材を使って脂も少ないというところが、希少な商品なのではないかなと感じています。

マザーフーズが目指す未来


━━それでは最後にマザーフーズとして今後のミッションがあれば、お教えいただければと思います

今までの、余って困るもの、捨てられてしまっていたもの、そういうものを活かして製品化してきたこととも繋がり、現在は野菜加工会社様と連携して規格外野菜を使って製造しています。今後は、それをさらに発展させて、資源の循環システムといいますか、サイクルを構築したいなと考えております。
どうしても出てしまう廃棄物、それは肥料にするのも1つの手ですけれども、その前に、何らかの加工によって、もちろんいろいろな技術、企業様との連携プレーになると思うんですが、そういうつながりを広げていって、最終的にはぐるぐる回る、どこにもほとんど無駄が出ないね、という循環サイクルを構築して行く一助になれれば、と思っております。

━━本日は貴重なお話ありがとうございました。

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お話を聞いている中で、命を頂いているので食材を余すころなく使いたいという言葉が印象的でした。外からは最初SDGsといった枠組みで捉えていましたが、実は元々使いづらい食材の活用する文化がありました。
元々ある企業文化を現在のSDGsといった枠組みで捉えなおしてみるのも新たな発見があるかもしれないと感じたインタビューになりました。(伊藤)






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