1. HOME
  2. FOOON
  3. 外国人観光客の心をつかむ!インバウンド向けおみやげグルメ開発のヒント
外国人観光客の心をつかむ!インバウンド向けおみやげグルメ開発のヒント

特集

外国人観光客の心をつかむ!インバウンド向けおみやげグルメ開発のヒント

インバウンド需要の回復により、各メーカーで外国人観光客をターゲットにした商品開発が進んでいます。なかでも「食」は訪日観光の大きな目的のひとつであり、地方グルメは強力な観光資源になり得ます。地域の魅力が詰まったおみやげグルメを開発できれば、観光客の印象に残りやすくなり、再訪や拡散のきっかけにもなるでしょう。

今回は、外国人観光客を対象としたおみやげグルメを開発する際に、押さえておきたいポイントについて解説します。



外国人観光客が求める「地方グルメ」とは

外国人観光客を引きつける食とは、「その地域でしか味わえないグルメ」です。
日本を訪れる外国人観光客の関心の中心は「食」にあります。日本政府観光局が2024年に実施した調査によると、外国人が「訪日旅行前に期待していたこと」の1位は「日本食を食べること」でした。これはショッピングや観光を上回り、82.2%と非常に高い割合を示しています。
 日本食といえば、寿司や天ぷら、ラーメンなどがイメージされて、「地方グルメに関心を持つ外国人は少ないのでは?」と思うかもしれません。しかし近年、環境への意識が高い旅行者を中心に「エコツーリズム」に注目が集まっています。
 エコツーリズムとは、地域の自然や文化を楽しみながら学び、環境保全や地域社会の活性化につなげることを目的とした観光のスタイルです。エコツーリズムに関心を持つ外国人観光客は、自然の中でのアクティビティに参加したり、地元の人々と交流したりしながら地域の魅力に浸ります。「その地域でしか味わえないグルメ」も、その土地ならではの体験のひとつになるでしょう。
 寿司やラーメンなどの有名な日本食は世界各地に広まっていますが、地方グルメの多くはまだ日本でしか食べられません。日本の「ここにしかない」という限定感を強く打ち出せば、外国人観光客が注目するグルメになるでしょう。
 参考:JNTO「日本の観光統計データ」





インバウンド向け商品開発のポイント

インバウンド向け商品の開発では、外国人に選ばれるための視点や工夫が求められます。ここでは、商品開発時に意識したい具体的な着眼点や工夫のポイントを紹介します。

手に取られやすい商品設計

外国人観光客が食品をおみやげとして購入する場所は、駅や空港、観光地などが中心です。このような場所では購入後の持ち運びのしやすさも重要であり、常温保存が可能で、サイズが小さく軽量であることが選ばれるポイントになります。日本酒などの液体類は重くなりがちですが、ミニボトルなどの少量タイプにすれば軽量化が可能です。
また、日本らしさが感じられる商品は、外国人の興味を引きやすい傾向にあります。たとえば、浮世絵や和柄、筆文字などの日本文化を感じさせるデザインをパッケージに取り入れると、外国人の目に留まりやすくなるでしょう。
地方グルメであれば、商品にその地方らしさを盛り込むことが大切です。その土地の象徴的な風景の写真を使用したり、伝統工芸や文化的なモチーフを入れたりすると、外国人観光客の関心を引きやすくなります。
実際に日本酒メーカーの月桂冠では、インバウンド向けに180mlの少容量タイプの日本酒を販売しています。180mlは日本酒でいう1合、カップ酒と同程度の容量です。
容器のラベルデザインは江戸切子をモチーフにしており、見た目にも工夫がされています。容器のふたがお猪口として使える仕様で、持ち運びやすく、気軽に日本酒を楽しめると外国人観光客にも好評です。
 ただし、インバウンド向けの商品開発においては、日本から海外に持ち出せない食品があることに注意しましょう。多くの国では、肉や肉加工品、生の野菜や果物、卵、乳製品などの持ち込みが禁止されています。そのため、「購入したおみやげが現地に持ち帰れるか」という視点を持ち、素材や加工方法を十分に検討する必要があります。

参考:月桂冠株式会社「おちょこ付大吟醸」





わかりやすい表記の工夫


インバウンド向けの食品には、原材料や食物アレルギー表示、食べ方の説明などを英語で記載しましょう。本来は、商品が世界各国の人々の手に渡ることを想定し、多言語対応するのが理想です。しかし、おみやげグルメのパッケージは表記できるスペースが限られているため、最低限の対応として英語での表記が求められます。
またおみやげグルメは、何が使用されているかを明確に示すことも重要です。日本人にはなじみのある食材でも、外国人にとって未知の食べ物であることは少なくありません。
たとえば、きなこについて説明がなければ、その正体がわからず、手に取るのをためらってしまう可能性があります。しかし、大豆から作られたヘルシーで栄養価が高い食べ物であると説明すれば、興味を持って購入する外国人は増えるでしょう。
さらに、地域の特色や魅力を伝える工夫も必要です。外国人にその地域のファンになってもらえれば、再び訪問される可能性が高まります。パッケージにすべての情報を詰め込めない場合は、二次元コードを活用してサイトやSNSへ誘導することも可能です。
たとえば、食品メーカーの明治が販売するアイスクリーム「辻利 お濃い抹茶 チョコレート&クランチ」にも表記の工夫が見られます。この商品は、京都・宇治の老舗「辻利」の抹茶を使用しており、パッケージには日本語と英語、中国語で「辻利」ブランドの紹介や商品のこだわりを記載しています。
このような事例を参考に、おみやげグルメを通じて地域の魅力を世界に発信していきましょう。

 参考:株式会社明治 プレスリリース(2025年4月14日発表)





宗教や食に対する多様な価値観への配慮



世界人口の約25%の人々が信仰しているイスラム教は、食に制限がある宗教のひとつです。また、ベジタリアン人口も年々増加しています。インバウンド向けのおみやげグルメにおいても、こうした多様な食の価値観に対する配慮が欠かせません。
 イスラム教では、豚肉や豚由来の食品、アルコールの摂取が禁じられています。さらにイスラム教徒が口にできる食品は、基本的に「ハラル(イスラム法により許可されたもの)」認証を受けたものに限られます。
 ベジタリアンの場合、その取り組み方はさまざまです。たとえば、肉や魚を避けるだけでなく乳製品や卵も摂らない「ヴィーガン」の人がいれば、卵と乳製品のいずれかは食べる人もいます。
 これらすべての食の価値観に対応するのは容易ではありません。しかし、実は「アルコール不使用でヴィーガンに対応した食品」を作れば、多くの人々に受け入れられる商品になります。
 さらに、食の価値観に配慮した食品は、そのような制限を持たない人にも好印象を与えることがあります。ハラルやベジタリアンに対応した食品は、原材料を明確に表示し、製造工程も徹底して管理されていなければなりません。そのため、結果として食の安全性の高さをアピールすることにつながります。
 事例として、横浜の洋菓子メーカー「ガトー・ド・ボワイヤージュ」を紹介します。同社は、定番商品の「横浜馬車道ミルフイユ」など、3種類の商品でハラル認証を取得しました。これにより、食に制限があっても安心して購入できるおみやげとして、外国人観光客から人気を集めています。

 参考:株式会社ガトー・ド・ボワイヤージュ「ハラール認証取得商品」





インバウンドは「地方グルメ」の魅力を伝える絶好の機会

インバウンドを対象とした商品開発のポイントは、次の通りです。

●       小さくて軽量、日本らしさを感じるデザインなど、手に取られやすい商品にする

●       原材料や地域の魅力などを、多言語や二次元コードを活用してわかりやく伝える

●       宗教や食に対する多様な価値観に配慮して、誰もが安心して食べられるようにする


今や大都市だけでなく、地方においてもインバウンド需要を見据えた商品開発が必要です。外国人観光客に選ばれるおみやげグルメを開発できれば、地域の魅力を世界に発信できると同時に、自社の強みをアピールするチャンスにもなります。今こそ、地方グルメの良さを最大限に活かした、世界に誇れる商品づくりに取り組みましょう。





記事カテゴリ

特集

特集

食に関わるありとあらゆる情報をお届け

実践商談ノウハウ

実践商談ノウハウ

スタッフが間近で見た商談の成功例をレポート

目利きの視点

目利きの視点

いいモノ発見、価値を見抜くプロの目で選ぶ技!

想いのバトン

想いのバトン

生産者のこだわり、取り組みや活動をレポート

全国特産品ファイル

全国特産品ファイル

日本全国からキレのある商品をスタッフが厳選!

FOOON掲載商品が気になったら、
バイヤーズキッチンで
売り手と商談ができます!

バイヤーズキッチン

バイヤーズキッチンは
地域の食が集まるコミュニケーションサイトです。
FOOON掲載商品以外にも多数の地域食品が出品中!
全国から集まった食品の売り手と
オンライン商談できる他、
試食展示会などのイベントも開催しています。

サービス内容に関するお問い合わせ

お問い合わせフォーム

もっと詳しく知りたい方は、
お気軽にお問い合わせください。
担当者よりご連絡させていただきます。

FOOONにあなたのエピソードを掲載しませんか?
編集部がインタビューに伺います!

記事作成依頼はこちらから