味噌作りの技術を活かした他社にない商品を。ヤマク食品の歴史と挑戦

ーヤマク食品の歴史と事業内容について教えてください。

ヤマク食品は、地元の名産品である大根を使った漬物の製造からスタートしました。味噌を製造するようになったのは、地域に良質な原材料がそろっていたため、といわれています。

本社がある徳島県の藍住（あいずみ）町は、かつて藍染に使う藍の栽培が盛んでした。
藍を収穫して翌年に種をまくまでの間に大豆を作る農家が多かったこと、鳴門の海が近く質の良い塩が手に入ったことから、味噌を作るようになったそうです。
 
昔は、味噌は家庭で手作りするものだったので、需要はあまり多くありませんでした。
しかし、戦後になると味噌は購入するものに変わり、需要が伸びたため、味噌の製造を中心に行うようになりました。
 
現在は煮豆や甘酒も製造していますが、味噌以外の商品を展開し始めたのは、ここ30〜40年のことです。近年は、大豆を使用した菓子類の開発に力を入れています。このように、多品目にわたる商品を製造している味噌メーカーは珍しいと思います。

ーバイヤーズキッチンに登録している「酵素生活 甘こうじ生みそ」の特徴や、こだわりのポイントについて教えてください。

「酵素生活 甘こうじ生みそ」は、徳島県の特産品である「御膳味噌」をベースに、特別な米を使用しています。

味噌は基本的に、大豆・米・塩から作られます。大豆と米の割合によって味噌の味が変わるのですが、御膳味噌は米の割合が多く、甘口であることが特徴です。
さらに、表面を削った米を使用していることも、大きなこだわりです。
日本酒の製造では、原材料となる米の表面を削ることで、雑味のないクリアな味わいを生み出します。
「甘こうじ生みそ」に使用する米も同じように表面を削り、原材料の良質な部分だけを使うことで、米のおいしさを引き出しています。

価格：¥570（税別）
賞味期限：常温
温度帯：270日

ープリンを作る味噌メーカーはあまりないと思うのですが、バイヤーズキッチンに登録している「なめらか大豆プリン バニラ」についても、こだわりを教えてください。

「なめらか大豆プリン バニラ」は、大豆をまるごと使用することにこだわっています。

大豆プリン自体は他社でも製造されていますが、その多くは豆腐メーカーであり、豆腐の製造技術を応用して大豆プリンを作っています。
そのため、一般的な大豆プリンは豆乳から作られており、大豆の「おから」の部分は使用されません。

一方で、私たちは大豆のおからにあたる部分まで、まるごと使用してプリンに仕上げています。
こう聞くと「大豆の味が強くなるのでは？」と思われるかもしれませんが、加工方法を工夫することで、大豆の風味はかなり軽減できます。
実際に、「なめらか大豆プリン」の味はとてもあっさりしているんですよ。

これは、長年大豆を取り扱ってきた味噌メーカーである、ヤマク食品だからこそ開発できた商品だと自負しています。

価格：¥170（税別）          
賞味期限：常温
温度帯：120日

ー商品開発のなかで苦労した点はありますか？

 
味噌は昔から作っている商品ではありますが、時代によって変わる消費者の嗜好に合わせて、仕込みの方法や酵母菌の種類を調整しています。
とくに、発酵を促す酵母菌の調整には手間をかけました。
私たちの会社では、特別に培養した独自の酵母菌を使用しています。
この菌を使うことで、甘い香りが感じられて、すっきりとした味わいの味噌に仕上がるようになりました。

ヤマク食品がオンラインで切り拓く次のステップ

ーバイヤーズキッチンに登録した経緯を教えてください。

 中小機構を通じてバイヤーズキッチンを知ったのですが、正式に登録したのはコロナ禍がきっかけです。
以前は、取引先とはすべて対面で商談をしていましたが、コロナ禍以降はオンラインでのやり取りが多くなりました。
販路拡大の手段としてもオンラインが有効だと考えて、バイヤーズキッチンに登録することを決めました。

ーバイヤーズキッチンを利用した感想を教えてください。

オンラインでマッチングして商談ができることに、費用面と時間面の両方でメリットを感じています。
メーカーが新規開拓を行うには、訪問営業や展示会への出展といった方法しかありませんでした。しかし、どちらも費用と時間がかかります。

その点、バイヤーズキッチンは商品をサイトに登録し、興味を持っていただいた企業とオンラインで商談ができるので、非常に効率的です。
また、バイヤーズキッチンに登録する際に、手数料などの費用がかからないのも良い点ですね。

ー今後、新しく挑戦したいことや目標はありますか？

これまで接点を持てなかった、新しいジャンルの企業との取引を広げたいと考えています。
現在は、主に量販系の食品スーパーさんと取引をしていますが、それ以外の場所にも需要があるはずです。
バイヤーズキッチンを活用して、食品スーパーなどの小売店はもちろん、これまでに取引をしたことがないような企業ともつながり、より多くのお客様に商品を届けたいと思っています。