特集
地域資源×異業種の力!
特色ある商品づくりを目指す食品メーカーにとって、今注目したい取り組みが「異業種間のコラボレーション(コラボ)」です。同じ地域に基盤を置きながら、普段は交わらない分野が連携することで、地域の魅力を活かした新商品が次々と生み出されています。 今回は、異業種コラボにより誕生した新商品の事例を4つ紹介します。自社や地域の組織・企業の強みを掛け合わせ、新しい価値を創り出す参考にしてください。
食品メーカーが新しい商品を開発したり、これまで接点のなかった顧客層に商品を届けたりする方法のひとつに、異業種コラボがあります。異業種コラボとは、異なる業界や領域の企業・団体が、それぞれの強みを持ち寄って商品開発や販促を行う取り組みです。
地域食品メーカーにとっても、異業種コラボは商品開発、認知拡大、販路開拓のきっかけになります。本記事では、食品業界で参考にしたい異業種コラボ事例と、地域メーカーが取り組む際のポイントを紹介します。
異業種コラボとは、異なる業界や領域の企業・団体が、それぞれの強みを持ち寄って商品開発や販促を行う取り組みです。食品分野では、共同で新商品を開発する「共同開発」、シェフやホテルなどの知見を借りる「監修」、販売イベントやキャンペーンを一緒に行う「販促連携」などの形があります。
大切なのは、名前を並べるだけではなく、双方の強みが商品価値や売り場での伝わり方につながっていることです。
地方食品メーカーが異業種コラボに取り組むことで得られる主なメリットは、次の通りです。
異業種とのコラボは、自社だけでは得られない多くのチャンスを生み出すことが期待できます。たとえば、新たな顧客層に商品が届くきっかけとなる可能性があります。
また、異業種と共に商品開発に取り組むことで、商品に新たな価値が加わり、地域ブランドとしての魅力も高まるでしょう。さらに、自社にないアイデアや技術を取り込めれば、今までにないユニークな商品が生まれる可能性も高まります。
食品メーカーは、素材、製造技術、品質管理、地域性などの強みを持っています。一方で、自社だけでは新しい顧客層や売り場に届きにくいこともあります。異業種コラボでは、相手先のブランド、販路、ファン、企画力を活用できるため、食品メーカーの商品開発や販路開拓と相性が良い取り組みです。
特に地域食品メーカーの場合、地域素材や伝統製法を活かしながら、観光、ギフト、スポーツ、ホテル、鉄道、外食などの文脈に広げられます。
「YATA COLA(ヤタコーラ)」は、山形県鶴岡市で誕生したクラフトコーラです。農業を営む企業「ティーズファクトリー」が中心となり、地元の農家やレストランのシェフが協力して独自のレシピを開発しました。
クラフトコーラは、近年の健康志向の高まりによって注目を集めている飲み物であり、地域の特色を活かしやすい点も魅力です。YATA COLAは10種類のスパイスに黒糖や柑橘などをブレンドし、風味豊かでありながら、すっきりとした飲み口に仕上げています。商品名の「YATA」は、日本神話で蜂子皇子を出羽三山へ導いたとされるヤタガラスに由来しています。
YATA COLAは、異なる分野のプロフェッショナルが専門性を持ち寄り、地域の魅力を形にした事例のひとつです。地元の素材や人の力を掛け合わせれば、このように地域ならではの新たな名物を生み出せるでしょう。
「カンナチュール」は、サステナブルな食品ブランドを展開する企業「エイチアンドダブリュー」による、プレミアム缶詰のブランドです。そのカンナチュールが、大阪のリーガロイヤルホテルと手を組んで誕生したのが「RIHGA ROYAL RICH(リーガロイヤルリッチ)」シリーズです。
カンナチュールの商品開発力と、ホテルシェフの知識と技術を組み合わせ、リッチな味わいを追求した缶詰を開発しました。規格外の原材料を使用してサステナビリティにも配慮しつつ、ホテルシェフ監修という高付加価値の商品に仕上げています。
これまでに「牛ほほ肉の赤ワインソース煮込み」をはじめとする3種類の缶詰を展開。リーガロイヤルホテルのオンラインショップでも販売されています。家庭で手軽に高級ホテルの味を楽しめるだけでなく、ギフトにも利用できる商品として注目を集めています。異業種の強みを掛け合わせたこの取り組みは、販路拡大やブランド力の強化を実現した好例です。
千葉県市川市に拠点を置く農協・JAいちかわは、プロバスケットボールBリーグの「千葉ジェッツふなばし」と連携し、「船橋にんじんグミ」を開発しました。
船橋市は県内でも有数のにんじんの産地であり、「船橋にんじん」は特許庁の「地域団体商標」にも登録されているブランド野菜です。JAいちかわと千葉ジェッツふなばしはこれまでも、船橋にんじんの出荷箱を共同で制作したり、ホームゲームで来場者に船橋にんじんを配布したりと、さまざまなPR活動に力を合わせて取り組んできました。
「船橋にんじんグミ」では、JAいちかわが開発したグミのパッケージに、チームカラーである「チャレンジングレッド」とチームのオリジナルフォントを採用しています。この事例のように発信力のあるパートナーと連携できれば、認知度の向上につながる可能性があります。
JR西日本は地域の菓子店と連携し、観光列車でスイーツセットを提供しています。
たとえば、広島から福山にかけて運行する観光列車「etSETOra(エトセトラ)」では、広島市の和菓子店「旬月神楽」の創作和菓子や、洋菓子店「カスターニャ」のケーキなどを詰め合わせたオリジナルスイーツセットを販売しています。そのほかの観光列車でも、沿線で親しまれている地元菓子店によるスイーツセットが購入可能です。
鉄道会社にとって、地元菓子店とのコラボは、観光列車の旅をより魅力的なコンテンツにするための重要な取り組みです。一方で、地元菓子店にとってもブランド力の向上につながるうえ、「お店にも行ってみたい」と観光客が地域に足を運ぶきっかけにもなります。このように、鉄道会社と地元菓子店の連携は、地域全体の観光の魅力を高める効果が期待できます。
異業種コラボを成功させるには、双方の強みが明確であることが重要です。食品メーカー側は素材、製造技術、品質管理、地域性を提供し、相手側はブランド、販路、顧客接点、企画力を提供するなど、役割が整理されていると企画が進みやすくなります。
また、ターゲットと売り場を決めておくことも大切です。誰に向けた商品なのか、どこで販売するのか、どのような利用シーンを想定するのかを整理することで、味、容量、価格、パッケージ、販促方法に一貫性が出ます。
異業種コラボでは、相手の知名度だけで判断しないことが大切です。顧客層、ブランド相性、品質管理、販路、権利関係を事前に確認しましょう。
たとえば、高級感を出したい商品であれば、価格帯や売り場の雰囲気が合う相手を選ぶ必要があります。子ども向けの商品であれば、味、表示、安全性、パッケージ表現にも注意が必要です。ブランドロゴや名称を使う場合は、使用範囲や販売期間も事前に確認しましょう。
異業種コラボ商品をバイヤーに提案するときは、話題性だけでなく、売り場でどのように展開できるかを説明することが重要です。商品特徴、コラボ相手の強み、ターゲット、販売期間、想定売り場、価格帯、販促物、パッケージ、販売実績を資料化しておきましょう。
商品提案書や商談資料を作る際は、「食品バイヤーとの商談ではどんな情報が必要!?」の記事も活用できます。コラボ商品の魅力だけでなく、バイヤーが導入判断に必要な情報を整理しておきましょう。
異業種とのコラボは、自社だけでは実現できない新しい商品や特別な体験を生み出す、大きなチャンスとなります。さらに、新たな販路の開拓やブランド力の強化などの効果も期待できます。異なる業種と手を組み、地域の素材や人の力を活用して、魅力ある商品づくりに挑戦してみましょう。
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