実践商談ノウハウ
ふるさと納税は現在、地域の魅力を伝える新たなチャネルとして、多くの自治体に活用されています。地方の食品メーカーにとっては、返礼品が注目を集めることで企業の魅力や特色が全国に届き、自社の認知を広げるきっかけとなるでしょう。一方で、寄付者の価値観は年々変化しており、返礼品づくりにも新たな視点が求められています。 今回は、人気の返礼品から読み取れる傾向をもとに、ふるさと納税に取り組むうえで押さえておきたいポイントを解説します。 ※この記事は6分で読めます
【この記事でわかること】
● 近年のふるさと納税における受入額・受入件数の動向
● 人気の返礼品から見えてくる、寄付者の価値観や選び方の傾向
● 返礼品づくりで意識すべきポイント
ふるさと納税とは、任意の自治体へ寄付をすると、寄付額のうち2,000円を差し引いた金額が所得税・住民税から控除される仕組みです。実質2,000円で返礼品を受け取れることから、地域の名産品やサービスを手軽に楽しめる制度として、年々利用者が増えています。
総務省の調査によると、令和6年度のふるさと納税の受入額は約1兆2,728億円、受入件数は約5,879万件でした 。令和元年からの5年間で、受入額と受入件数はどちらも2.5倍以上[2] に伸びている状況です。
都道府県別に見ると、令和6年度の受入額が最も多いのは北海道で約1,800億円と、他県を大きく引き離しています。続いて宮崎県(約583億円)、兵庫県(約582億円)となっています。
ふるさと納税は2025年10月の制度改正により、各ポータルサイトでのポイント付与が終了しました。返礼品選びの判断基準からポイントが消えたことで、地域や返礼品そのものの魅力がより重視されるようになるでしょう。
参照元:総務省 ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)
ふるさと納税の人気商品を見ると、寄付者の返礼品選びの傾向が読み取れます。こうした傾向を分析することで、選ばれる返礼品づくりや効果的な見せ方のヒントが見えてくるでしょう。ここでは、人気商品の傾向から読み取れる、ふるさと納税の取り組みのポイントを紹介します。
近年のふるさと納税の人気商品を見ると、「実用性」と「地域貢献」というキーワードが浮かび上がってきます。
まず目立つのが、実用性の高い食品です。牛肉や高級フルーツなどの贅沢品は依然人気ですが、お米や野菜、飲料といった生活に欠かせない食品を選ぶ人も増えています。不作や価格高騰で食品を手に入れにくくなっているため、ふるさと納税を利用して日常の食品を確保したいというニーズが高まっていることが分かります。
一方で、地域貢献を意識した選び方も広がっています。自然災害による被害を受けて規格外となった食品を、「訳あり食品」として登録する動きが増えています。それを受け、被災地域を支援したいとの思いから、訳ありの品を選ぶ寄付者も増えているようです。
また寄付理由に、「思い入れのある地域の支援」や「生産者のストーリーへの共感」を挙げる人も少なくありません。こうした動きの背景にあるのは、社会的課題に配慮した消費活動である「エシカル消費」の広まりです。
応援したい自治体に寄付すること自体がエシカル消費といえますが、さらに踏み込み、エシカル消費を意識した返礼品を選ぶ人も増えています。たとえば、廃棄されるはずの食材を加工して作った食品を返礼品に選ぶことは、フードロス削減につながります。
「おいしく食べながら社会に良い選択ができる」取り組みとして、ふるさと納税の利用が広まっているのです。
これからのふるさと納税では、「この地域や生産者を応援したい」と感じてもらえるかどうかが、寄付先に選ばれる大きなポイントになります。その「応援したい気持ち」を育むためには、地域や生産者が抱える課題や、その解決に向けた取り組みを丁寧に伝えることが重要です。
自然災害による農業への被害、海の環境変化による漁獲量の減少など、地域はさまざまな課題を抱えています。その課題に対して、地域の人々がどのように向き合っているのかを返礼品を通して示すと、寄付者は自分の選択が地域の力になることを実感しやすくなります。
たとえば北海道下川町は、豊かな森林資源を守りながら活用する、「持続可能なまちづくり」を進める地域のひとつです。
同町では、大気中の二酸化炭素を地中にとどめる「バイオ炭」を農地に埋め、その農地で育てた小麦から小麦粉を製造し、返礼品にしています。自然環境を守りながら活用するという地域の課題と取り組みが、返礼品として形になっている事例です。
また、地域の未利用資源を返礼品に活かす方法もあります。規格外野菜や漁獲量が少ない魚など、市場に流通させにくい素材でも、工夫次第で返礼品に活用することは可能です。未利用資源を有効活用した返礼品は、フードロスの削減や環境への配慮の観点から寄付者の評価が高く、「地域貢献型の返礼品」として支持を集めやすくなっています。
長崎県平戸市は、2014年度の寄付額が全国1位となったことで知られる自治体です。その際、とくに人気が高かったのが、ウチワエビ、サザエ、真ガキ(または岩ガキ)、ヒオウギ貝を詰め合わせた返礼品でした。
ウチワエビやヒオウギ貝は、単体では売れにくい魚介類であり、地元での消費が中心でした。しかし、セットで販売することで価値が高まり、多くの人々の目に留まるようになったのです。
ふるさと納税は、お得に返礼品をもらえる仕組みから、「地域を応援する消費」へと変化しつつあります。地域や生産者が抱える課題、地域の未利用資源を改めて見直し、「応援したい」と思ってもらえるふるさと納税の取り組みを進めていきましょう。
参考:北海道下川町「下川町ふるさと納税」 黒田成彦「平戸市はなぜ、ふるさと納税で日本一になれたのか?」KADOKAWA、2015年
ふるさと納税では、日常生活を支える実用性に加え、「地域を応援したい」との思いから返礼品が選ばれるケースが増えています。地域や生産者が抱える課題や、解決に向けた姿勢を伝えることが、寄付者の共感を生み出すための重要な取り組みになります。
また、これまで注目されてこなかった地域資源も、工夫次第で魅力ある返礼品になるかもしれません。いまこそ、自社の強みと地域の資源を活かして、新たな返礼品づくりに挑戦してみましょう。
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