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想いのバトン

モノでなく、コトにすることで日本酒ファンが広がっていく、大切なのは「ご縁だね」

メーカーインタビュー
岡部合名会社 岡部彰博 様
近年、新酒鑑評会などで賞を獲得する酒蔵も多く国内だけではなく海外でも高く評価されている「茨城県の日本酒」。茨城県には、関東最多の41の酒蔵が存在することをご存知でしょうか?
今回は、茨城県常陸太田市で約150年もの間、こだわりの日本酒を造り続ける「岡部合名会社」の6代目である岡部彰博さんにインタビューさせていただきました。
ネット販売が普及し、日本酒を楽しむ客層も変化する今、様々な取り組みでお客さんを楽しませる岡部合名会社さんの大切にするルーツや商品に対する想いなどを聞かせていただきました。
顧客とのコミュニケーションで目指したのは、徹底した「見える化」


―岡部合名会社の概要について教えてください。

創業は明治8年、代表銘柄が「松盛(まつざかり)」です。
その由来は“末まで栄える”という事と、京都に松尾大社という日本酒の神様がいるので、その“松”を使わせてもらった、と聞いています。
地元「茨城県産」の物を使いたい、という想いが特に強いので、県産のものにこだわっています。
「松盛」以外には「ご縁だね」、それから「うめざかり」っていう梅酒があります。あと小売店・専門店専用の銘柄で「岡部」という事でやっています。


ー小売店・専門店専用の銘柄があるんですね。

「松盛」という銘柄は、良いお酒からリーズナブルなものまであるんです。
リーズナブルなものは地元のスーパーにも置いてもらっているのですが、純米吟醸や大吟醸などの良いお酒は専門店に置いてもらって、棲み分けをしているんです。
また、「岡部」というセカンドブランドを作って、これはスーパーには卸さない種類、という事でブランディングをしました。そうすると希少価値のあるお酒だという事で、小売店・専門店さんも売り易くなってメリットが生まれてくるんですね。
「松盛」との差別化の意味で「岡部」の方が売り易いという小売店さんには「岡部」を使っていただいています。




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▼地元農家と連携し、米作りから携わったテロワールな逸品

松盛 純米吟醸 生原酒
生ならではのフレッシュな口当たりが心地よく感じます。キュートな含み香が軽快に広がります。その後ゆっくりと口中に行き渡らせますと、しっとりとふくらむ旨みが表われます。喉ごしもとてもスムーズで、最後の鼻に抜ける奥深い繊細な余韻もお楽しみください。清涼感とジューシーが共存です。




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▼あま~い梅酒はちょっと重い... そんな方に、サラッと甘酸っぱ~い梅酒!!!

松盛のうめざかり 梅酒・黒糖梅酒

地元産【白加賀梅】と自社栽培の『白加賀梅』で仕込みました。
梅酒は梅ジュースのようなスッキリとした甘酸っぱい味わいが特徴。
黒糖梅酒は黒糖を組み合わせることによって甘酸っぱさに香ばしさとコクをプラス!ナッツ系と相性〇


―茨城県産のものを使っているところもこだわりの一つなんですね。

今、地元のお米を使って酒造りをしている蔵元が増えているんですけど、うちはさらに地元の農家と一緒に取り組んでる、というところが1番の強みなのかな、と思います。
前の会社にいた時、ホテルなどにワインを提案する際に、ソムリエの資格の勉強したんです。“テロワール”という意識とか、あとマリアージュ、お酒と料理の組み合わせなどの、ワインの昔からの文化にすごく影響されて、「これ日本酒でも使えるじゃん」みたいな感じで思ったんです。
地元のお米を使って日本酒を造って、地元の農家の顔も“見える化”して、繋がりながら一緒にやっていこうって強く思ったんです。


―テロワールの意識を日本酒にも応用したんですね!

はい。ただ格好良く言ってるだけだと、結局中身がない状態になっちゃうんで、うちはそこからプラスして、田植も実際一緒にやるし、農家さんと組んでやってるっていうところが良いのかなと思っています。


―それは農家さんも心強いですね。

いや、むしろちょっと邪魔になっているような…(笑) 
栗原農園さんという米農家さんのお手伝いをしたんですが、不慣れですし機械で植えたこともないし、手で植えると曲がっちゃったりとかしますけど…。
でもそこから携われば、生産者の顔が見えますし、そういう意味でも「見える化」したいんです。




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原農園さん

―いいテーマですね、「見える化」

それだけ仲も良くなって信頼関係もあるので、最近はコロナ禍で無いですが“試飲会”とかのイベントがあると、栗原農園さんも試飲会に一緒に来てくれることがあるんですよ。
そうすると「僕がそのお米を作っています」、「私はそのお米でお酒を造っています」という話が出来て、お客さんも「お酒の造り手に会ったことはあるけど、お米の造り手まで会ったことはない」という反応があるくらい、珍しいことなので、それが凄い強みなんだなーと思っています。試飲会の時は、お米作る人から繋がり、お酒作る人と繋がり、今度はそれを飲む人と繋がる、っていう。


―酒蔵さんと米農家さんは密接な関係があるんですね。

そうですね、それが付加価値じゃないですけど、重要なのかなと思っています。
あともう1ひとつのマリアージュっていう食べ物とお酒の組み合わせ、ペアリングも影響されたので、お客さんにも提案するようにしています。




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―どんなふうにマリアージュのご提案をしているんですか?

ちょっと前から始めたインスタで、「今日はこの日本酒、この料理が合いました」っていう記録を残すようにしています。
商談会にバイヤーさんに酒蔵まで来てもらった時に、「岡部さんのこのお酒と、どういう料理が合うんですか?」て聞かれた時に、ちょっとテンパったのですが、あっそういえばと、インスタに残していたので携帯を見せてマリアージュの話ができました。
携帯電話をみながら話すのは失礼だったかなと思ったけど、プレゼンというか、そういう風に、なんかペアリングを意識してやっている、っていうのが伝わったから結果オーライだったかなと勝手に思ってます。
あと、お客さんとの会話でも、「これと飲んだら美味しかったよ」とか話を聞きます。
この前、県内の酒屋さんに、うちの夏酒の純米吟醸を発売したときに「松盛さんの夏のお酒は甘めのにんじんドレッシングを使ったチョップドサラダにあわせると美味しかった」と言われました。おしゃれ過ぎて僕には分からなかったですが。(笑)
でも、そういう風に宣伝してくれたりするので、教えてもらうことも多いですよ。




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岡部さんのインスタグラム(Matsuzakari_6_okabe)マリアージュの提案

―「ご縁だね」という銘柄はプロジェクトで開発されたそうですが、どんなお酒なんですか?

一般のお客さんと、その栗原農園の人で「僕らの作るお米はコシヒカリだけど、違うお米で皆でお酒が造れたら面白いね」みたいな話から企画が始まりました。
最初は本当に20人くらいの集まりで、田植えのイベントも、最初は田植えとバーベキューして解散だったんですよ。
そこから、ミーティングしていく中で、実際にみんなが作ったものを飲む機会がないと面白くない、という話も出ました。
前の年に稲刈りしたお米を使ったお酒が5月に飲めるので、田植えが終わった後、それを「去年、皆さんが植えたお米が無事お酒になった」と“乾杯のイベント”をやりました。
そして「今日の昼間田植えしたお米は、来年、ここで乾杯しましょう!」みたいな感じで、全部繋がるようにしたんです。
で、田植えだけだと子供が飽きちゃうんで、「泥んこレース」っていうのも始めました。
“子どもの部”“大人の部”で、賞品を作って子供にはおもちゃみたいなものを僕らの予算で買ってくるんですけど、大人の女性の部は、栗原農園のコシヒカリ10キロが1位の景品なので、家計に関わってくる分ガチなんですよ、女性が。マジで(笑)
それをやるようになってどんどん認知も広がっていって。今250人ぐらいで、夜も昼も別々に集まるぐらいまで増えてきていますね。


―お客さんまでも巻き込むのはすごいですね。

去年までは酒造りに入った2月に毎年50人限定で酒蔵見学をしてもらって、「ご縁だね」の途中の状態ものを飲んでもらったり、実際体験してタンクを掻き混ぜてもらうイベントをやったりして、どんどん「ご縁だね」のイベントが増えてるんですよね。
お客さん飽きさせないようにしたいから。




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どろんこになって遊ぶ子どもたち

―これも「見える化」の一つですよね。

そう。こういう活動を続けていると、酒屋の営業さんや県内外の飲食店さんも来てくれたりして販路的にも広がっていきました。
居酒屋さんも、店でお酒を売る時に「これ、俺が作った米からできたお酒だから、一杯飲みなよ」みたいな風に言えるから一つの付加価値になっています。
あと小売店さんも同じように、飲食店さんに「これ僕も酒造りで参加したお酒なんです、ちょっと買ってくださいよ」みたいな。
蔵だけじゃなくて、その先の小売店さん、飲食店さん、消費者さんにストーリーが出来るので、 この流れというか“縁”がいいなと思います。




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▼自分たちのお酒を造りたい!そんな声からスタートした日本酒。酒米である「美山錦」を参加者と田植え、稲刈りを行い、また各家庭にバケツに植えた苗を持ち帰っていただき自宅でも栽培します。そのすべてを使って日本酒を醸します。本プロジェクトを通して多くの人々とつながりの輪が広がるようにと願いを込めて「ご縁だね」と命名されました。

ご縁だね 純米酒

テロワール、そして人と人のご縁から生まれたお酒です。


―そうなんですね。だから名前も「ご縁」がついているんですね。

一番最初はお酒の銘柄が「常陸太田地酒プロジェクト」という名前だったのですが、やっぱりなんか愛着がちょっと湧かないし、あと言われたのは「ちょっとエゴが強すぎる」と(笑)
そしてネットで募集したら800通ぐらい(応募が)来たんです。「ご縁だね」っていう言葉は世田谷に住んでいるお客様の案を採用させてもらって、銘柄が完成しました。


ー商品名が文章になっているのがいいですよね、“だね”って。

「ご縁だね」になった時の最初の飲み会の乾杯は、その世田谷の人を呼んで、その人にお願いしたんです。
そういう風にいろんな人巻き込むのが僕の中で、まあ何だろう、好きなことなんですね。巻き込み型・・・。
一人ではお酒は造れない。造り手の仲間全員が注目される酒造りをしたい




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―岡部さんは6代目を継がれるまではどうされていたんですか?

大学時代は東京で過ごして、その後は饒田という業務用の酒屋さんに就職しました。
神奈川に本社があって、最初は相模原エリアの担当で、主に飲食店に日本酒とかビール・ワインの営業をしていました。


―ということは、逆に買う側とか、発注する側で修行されたということですね?

そうですね。その酒屋さんでは元々うちのお酒を扱っていませんでした。
だからまず、僕が相模原の営業で担当していた居酒屋さんに「岡部君、何か良いお酒無いの?」って言われて、「いや大将、良いお酒あるんですよ、茨城の酒で松盛と言う酒があるんですよ。」という話になって、「他でなかなか扱っていない、珍しいお酒なので良いんじゃないですか?」みたいな感じで注文もらいました。
そうすると僕の勤めている会社に、松盛が在庫されたんです。
そのうち別の担当とかの奴らも、みんな松盛を営業してくれるようになりまして、一石二鳥というか。
人間関係を作っておけば、いずれ茨城に戻っても代わりに松盛を勧めてくれる人が出来てくるので・・・。
それをちょっと目標に、東京支店に異動希望もだして人間関係を作っていたら、気づいたら10年ほど努めていました。


―では10年、饒田さんにいらっしゃって、その後岡部合名会社に戻られたということですね。

はい。戻ってからは饒田で学んだ営業の販売方法とか、人との話し方とか接し方とかを活かして営業をしました。
あとは当時の冬には、まだ年配の酒造りをする杜氏さんっていう人達が来ていたので、冬は外に出ないで一緒に酒造りをしていました。




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―杜氏さんはやはり、東北から来ていたんですか?

そうですね。岩手県から来ていましたが、ちょうど3年ぐらい前に杜氏さんもご年配だったんで、あと2~3年で引退になっちゃうと思うし、そろそろバトンをつなぐ準備に入りたい、っていうふうに言われて、それで自分でやることになりました。
タイミング的に自分たちで酒造りをする話はあったので、特に慌てはしなかったです。
本当は1週間ぐらい現場監督で来てもらいたいな、という気持ちもあったんですけど。
コロナの影響もあって、電話で相談しながら酒造りを行いました。
完全に師匠無しでの酒造りだったので。 ドキドキでした。


―岡部さん、酒造りもご自身でされているなんてオールマイティですね。
酒造りが初めてっていうことだったんですけど、どんなことで苦労されましたか?

寝れないのは寝れないです。
杜氏さんがいた時は、最終的にいろいろ自分でも考えるけど、やっぱり杜氏さんがいるっていう安心感があるので、多少なり不安がある中でも、夜は疲れて寝ちゃうわけですよ。
でもよく杜氏さんの口癖で「俺は寝ながら考える」って言うんですけど、いや、寝てたら考えられないし意味わかんねぇな、とか思っていたけど、今年その意味が何となく分かってきました。
夜になると、「今、あのタンクの発酵してる温度は大丈夫かな…」とか、「あっちの仕込みはあの水の量でいいのか…」とか、やっぱ寝る前に考え出すんですよね。
そうすると寝れないし、逆に寝る前にそういうことを考えるから、明日こうした方が良いってアイディアも浮かぶんです。
だから杜氏さんが言ってた「寝ながら考える」ってこの事なんだろうなと、初めて責任者になって分かりました。


―1年目で、何事もなく終了して安心ですね。

良かったです。でも造るのは独りじゃなくて、一緒に酒作りしてる人達が居るんですよね。
酒造りは社員2人と一緒にやって3人。あと一人、冬だけ働きに来ている人と4人で作っています。
その4人目も、「ご縁だね」のお酒の田植えのイベントの時に参加してくれた人で、バンディエラっていう地元サッカーチームの監督なんですよ。
その人が、山梨出身で、別のチームのコーチをしていた人を紹介してくれて、「コロナで監督をクビになったので、冬の昼間は時間も空いていて、酒造りに興味あるので参加できますか?」って言って来たんです。
それで今、酒造りを一緒にやってるっていうのもやっぱひとつの縁だなと。


―今後の酒造りに関する目標はありますか?

まだ造り始まったばっかりですけど、うちの体制としての目標は、できれば誰もがどの場所もできるように、今後は皆で持ち場を回転させながらやっていこうと考えています。
昔は“杜氏”さんという1番偉い人がいて、ナンバー2の“頭”(かしら)が居たんですよ。
で、お酒作るの為にお米を蒸す人“かまや”さんと呼ばれる人、麹を作る“こうじや”さん、とそれぞれ、担当が決まってたんですよね。
うちは人数もたくさんいるわけじゃないので、誰もがどの場所もできるという体制を考えています。
今年は特に思ったのですが、自分がコロナになったりとか、怪我とか病気とかになると、酒造りもストップしちゃうので。




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新体制になった酒造りのチーム

―オールマイティな人材を育てていく感じですね。

いつも感じるのは、造り手として自分だけが目立っちゃうことが多いんです。蔵元の跡取りだから。
でもそうすると結局、同じ苦労をしてる他の造り手さんもいるじゃないですか。
人から脚光を浴びたり評価されると、それがやっぱモチベーションにもつながるので、“松盛”って言ったら「岡部君」だけじゃなくて、「○○君もいるよね」みたいな、そういう見せ方をしていく事もまた、その酒造りとはまた違った意味で1つの目標にしています。
同じ苦労してるんだから、やはり皆平等に、うちの“顔”にしてあげたいなと思っているんです。


―それも最初に話した「見える化」のところの話ですね。

そうですね。僕は自分の蔵だから朝寒い中、力仕事しなきゃいけないのはしょうがない、という気持ちでやっていますけど、皆はそうじゃない。
他探せば違う仕事だって見つけられるのに、うちを選んでくれているから、やはり経営者としてはもっと彼らを評価してあげたいし、もっと一体感を出すためには、自分だけが目立っちゃいけないなと思って、そういう事は気をつけていきたいところですね。
変化する客層や販売環境、突破口は“少量多品種“と”他業種コラボ“


―これまで「見える化」や「ご縁だねプロジェクト」のお話を聞かせていただきましたが、
岡部さんが行動する上で大切にされていることはなんですか?

やはり“縁”が大事だなって思いますね。
結局、それ広がっていって、そこから違う案件とかも出てくるので。どの仕事でもそうじゃないですか。
本当に酒造りも面白いし、お酒を売ることも楽しいけど、いろんな人と会っていろんなことが起きて、いろんなアイディアが出るから、いろんな可能性があるのが面白いのかな、と感じています。
お酒の展望が良くない、暗いって思ってる人も多いですけど、僕はそういう風には思わないですね。まあ、ちょっとコロナはそろそろ終わってくれないと困るなと思いますけども。


―コロナとか関係ないところでも、現代のニーズが昔とは変わってきたりしていると思うんですが、今後はどのような商品作りを考えられていますか?

720mlの商品に力を入れていきたいです。
ラベルなんかも、昔ながらの伝統と文化ということで2・3種類は頭の中で取っておいて、それ以外はどんどん変えていこうと思っています。もちろん良いお酒を造るのが1番の近道なんですけど、それでもやはり知ってもらうきっかけがないといけないと思うんですよね。
後は、今作っている、低アルコールの日本酒ですね。
酒販店からの注文もあり、量はそんな売れないんですけど、「欲しがる人が居るのは間違いない」という手応えはもう掴んでいて、完売する時期が早まってきているので、低アルコールの日本酒の種類も増やしていこうと考えています。


―今岡部さんが発売されている、低アルコールの日本酒は、“昼から飲む日本酒”みたいなテーマでしたよね。

はい。ワインだと昼間から飲んでる人っているじゃないですか、ボトルで。
昼から日本酒もワインの様に気軽に飲めるよ、って言う事で、低アルコールで「昼下がりのランデヴー」という名前の商品を作っているんです。
昼から飲んでもベロンベロンにならずに、飲んだ後もいろいろできますよ、みたいなことで作りました。




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―インパクトのある名前ですよね。

そうですね。ただインパクトある名前の中でも、ちゃんとテーマが無いとやはり長続きはしないです。


―なるほど。シチュエーションとして提案していますもんね。

日本酒は酸味を出して作ることもできるけど、酸味だけだと結局片寄っちゃって美味しくないんですよ。
そこに甘みがあればバランスいいお酒になるんですけど、どっちかだけだと日本酒はおいしくないんですよ。
白ワインも甘くもあるし、酸味もあるから呑んでて美味しいんです。
それを日本酒も同じように甘みと酸味があるように作ると、その酸味が6月のジメジメした時期に良いんです。
だから6月の梅雨入りと同時にいつも発売「ランデヴー」は販売しています。
つまらない梅雨入りも1つの楽しみになれるようにしたいんです。


―他に課題やチャレンジしていきたいことはありますか?

今はお酒を売っている小売店さんとのお付き合いなどが多いですが、お酒とか全然関係ない異業種の方とのコラボレーションが最近増えていて、それが面白いです。
例えば今は、お花業界では有名どころの花工房が水戸にあって、もともとすぐ近所の先輩がシクラメンとかカーネーションの生産者をやってる人がいたので「一緒にコラボしたいね」なんて話していたんですが、それを花工房さんに話したら、興味を持ってくれて。
酒販免許も1年かけてとってくださって、去年初めて母の日からやって100本以上出たんです。
今年はリキュールの免許も取って、梅酒とカーネーションという組み合わせで、 ネット販売でやったら200本以上出たんです。


―凄いですね。

販売力が大きい花工房さんと組めたのが、1番大きいんですけど、お酒好きなお母さんや女の人も増えているようで、「お花だけじゃなくてセットならこれも」って買う人が増えたんですね。
異業種の人との組み合わせも、新しい時代の売り方なのかなと思います。


―最近お酒のサブスクやお酒のネット販売も増えましたが、客層に変化はあるんでしょうか?

以前は日本酒はおっさんが飲むもので、酔っ払う、というイメージがありましたが、ちょっとづつ変わって来てます。
うちで売れるお酒も、女性や、若い人達が飲んでくれることが多くなりました。
若い人達は720mlの“良いお酒”を買ってくれるんですよね。だから売れ筋は変わったけど、日本酒の未来はあるなって実感しています。
ただ、若い人達は「松盛」の純米酒を飲んで美味しいと思っても、「じゃあ次は何飲もうか」って次のお酒を探すんですよね。
昔の人は「俺が飲むっつたらコレだ!」一升瓶ドーンみたいな感じでしたけど、若い人達は違うブランドのお酒に行ってしまうので、そこを例えば、「松盛」飲んだ、次は「岡部を飲もう」もしくは「ご縁だね」にしよう、だとか、うちの蔵の中で回せる様にしたいなというのが課題です。




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―若いだけでなく、地元から全国へ客層が広がったんですね。

今は自社サイトや小売店さんもネット販売に力を入れているので、少しずつネットでうちのお酒が全国で流通してきています。


―日本酒業界もネットでの販売が近年多くなっているんですね。

ネットショップの普及で以前よりも、送料が付くことに抵抗が無くなって来ているので、ネット販売で買っちゃうという人が多いですね。
そういった意味では、SNSやインターネットをちゃんと駆使すれば、もっと新しい売り方が見えてくるのかな。
従来の売り方をしてたら多分、お酒の販売は落ちて来ると思うんです。
昔は日本酒なんてもう飲む人いなくなっちゃうんじゃないかという不安もあったんですけど、時代に合った売り方・作り方をすれば、飲んでくれる人はいるし、増える。
だから日本酒業界が勝ち残っちゃえば、こっちのもんかな、という感じがしてるんですよね。
今は、“少量多品種“の時代なので、いろんなものを出してみたいかなと思っています。
1個がドカンと売れることは、今のご時世あまりないので、しっかりお客さんのひとつひとつのニーズを調べて、一個一個つかんでいけば、ちり積じゃないですが、必ず大きな成果になるかなと思っています。

―貴重なお話ありがとうございました!

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今回は、明るくて前向きな人柄が魅力的な岡部さんをインタビューさせていただきました。
いいところは残しながらも、現代のニーズを読み取り試行錯誤を繰り返し、それを新しいご縁につなげていく姿勢をバイヤーズキッチンスタッフも見習っていきたいと感じました!

これからも地元の方と連携した沢山の商品開発を楽しみにしております!

 

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