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はじめての食品輸出|地方メーカーでもできる海外展開の基本ステップを解説

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はじめての食品輸出|地方メーカーでもできる海外展開の基本ステップを解説

これまで、海外展開は大手企業の取り組みというイメージを持たれがちでした。しかし近年、日本の食品輸出は年々拡大しており、地方の食品メーカーが海外市場へ進出する事例も増えています。一方で、輸出に興味はあるものの「何から始めればよいのかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。 本記事では、日本の食品輸出の現状と海外展開の基本的なステップを解説します。あわせて、小規模事業者が輸出を実現させた事例を紹介し、海外展開に取り組む際のヒントをお伝えします。

※この記事は9分で読めます

【この記事でわかること】

● 日本の食品輸出の動向と、人気商品の傾向

● 食品輸出を始めるために押さえておきたい基本的なステップ

● 小規模事業者が輸出を実現した事例と成功のポイント


食品輸出の現状──世界で広がる日本の「食」

日本の食品輸出額は年々増加しています。2024年には初めて1.5兆円を超え、2025年上半期時点で8,097億円という過去最高額を記録しました。2024年の国・地域別輸出額を見ると、1位はアメリカで、2位以降には香港、台湾、中国といったアジア圏の国・地域が並んでいます。

輸出品目は、アルコール飲料とソース混合調味料が多くの国で上位を占めています。アルコール飲料の輸出額が伸びているのは、日本酒や日本のウイスキーが世界的に注目を集めていることが大きな要因です。ソース混合調味料にはウスターソースやマヨネーズ、ドレッシング、焼肉のたれなどが含まれ、日本食への関心の高まりを受けて輸出が増えています。

このほか、清涼飲料水や菓子も輸出額が多い品目です。アメリカでは日本独自の飲料であるラムネに注目が集まっており、香港では健康志向の高まりなどを背景に、緑茶飲料の需要が増加しています。菓子については、アメリカや香港などで、日本らしさが感じられる味やデザインのグミ、ソフトキャンディーが広く知られるようになってきました。

ヨーロッパでは、日本食の人気上昇や日本食レストランの増加から、醤油や味噌が多く輸出されている状況です。このように、日本の食品輸出は着実に拡大しており、地方食品メーカーも十分にチャンスが見込める状況であるといえます。

参考:農林水産省「農林水産物・食品の輸出に関する統計情報」

日本貿易振興機構「上半期の農林水産物・食品輸出額は過去最高の8,097億円」


食品輸出のステップ

食品を輸出するための基本的なステップは、次のとおりです。

  1. 輸出形態を決める
  2. 商品展開の方法を検討する
  3. ブランディングを考える
  4. プロモーション方法を決定する
  5. 輸出に必要な手続きを行う


 ここでは、各ステップについて順に解説します。

1. 輸出形態を決める

輸出形態は、大きく分けて次の2つがあります。

● 直接貿易:海外の企業やバイヤーと直接取引して輸出する方法

● 間接貿易:国内の商社などのパートナー企業を介して輸出する方法

 直接貿易では、現地の小売業者や飲食店に卸したり、現地のバイヤーと契約して販売したりできます。自社で現地調査から価格交渉、物流業者の手配まで行うため、現地の事情を把握しやすく、仲介手数料も抑えられます。しかし、手間がかかるうえ、代金回収リスクを自社で負担しなければならない点がデメリットです。

 近年注目されている「越境EC」は、主に海外の消費者個人と取引するため、直接貿易に分類されます。小ロットでの販売が可能で、消費者の反応をダイレクトに得られることから、テスト販売に利用する企業も少なくありません。ただし、輸出先国の規制調査や食品輸出の手続きを自社で行う必要があります。

 間接貿易は、商社や現地の代理店を通じて商品を流通させるのが特徴です。現地での物流や販売を任せられるため、輸出にかかる負担を軽減できます。しかし、自社に輸出のノウハウが蓄積されにくい、商社や代理店などへの手数料が発生するなどのデメリットがあります。

 それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、自社のリソースも考慮し、最適な輸出形態を選びましょう。


2. 商品展開の方法を検討する

海外市場をリサーチし、自社の商品が国外でも受け入れられるかを検討しましょう。食文化やライフスタイルといった現地の状況だけでなく、競合商品や流通事情も調べておきたいポイントです。調査にあたっては、JETRO(日本貿易振興機構)のアドバイザーや在外日本商工会議所、コンサルティング会社などを活用する方法もあります。

次に、リサーチの結果から輸出先国・地域を選定し、商品展開の方法を決めます。自社商品をそのまま海外で販売しても、必ずしも評価されるとは限りません。輸出先国・地域の文化や習慣を理解したうえで、味わいやパッケージデザインを、現地の人に受け入れてもらえるように見直すことが重要です。

商品展開の方法を検討する際は、あわせて現地の輸入規制や検疫についても確認しましょう。たとえば、EU向けに食品を輸出する場合、衛生認証や遺伝子組み換え表示、混合食品(動物性加工済原料と植物性原料の両方を含む食品)の規制などへの対応が求められます。

原材料やラベル表示、食品添加物など、規制の対象や必要な対応は国によって異なります。十分な調査を行い、実際に規制や検疫をクリアするだけでなく、それを証明する書類も準備しておきましょう。


3. ブランディングを考える

自社の商品を海外市場で選ばれる商品にするために欠かせないのが、ブランディングです。海外市場におけるターゲット(ペルソナ)を設定し、そのターゲットに共感してもらえるブランドストーリーを構築します。ブランドストーリーを考える際は、次の観点を意識するとよいでしょう。

● 日本らしさ(フレーバー、技術、原料など)

● 地域や作り手のストーリー

● 食べ方の提案や健康面での価値

 近年は、商品の品質や機能性、味わいなどの「機能的価値」で、ほかの商品と差をつけることが難しくなっています。そのため、商品を飲食したときに感じる満足度や喜びといった「情緒的価値」に加え、「体験価値」の重要性が高まっています。

 体験価値とは、商品を通じて特別な体験を提供することです。単に商品を飲食してもらうだけでなく、その背景や楽しみ方などの価値を伝え、消費者に共感や感動を呼び起こします。商品や企業のファンになってもらえれば、継続的な購入も期待できるでしょう。

価格設定も、ブランディングにおいて重要な要素のひとつです。利益を最大化しつつ、輸出コストや消費者のニーズ、競合商品の価格を踏まえた設定が求められます。


4. プロモーション方法を決定する

プロモーション(販売促進)活動は、次のようなオンラインとオフラインの施策を組み合わせるのが効果的です。

● オンライン:多言語対応サイト、SNSなど

● オフライン:展示会、商談会、ショールーム、ポップアップストアなど

食品の輸出に取り組む際、まず整えたいのが多言語対応サイトです。SNSや展示会、商談会など、さまざまなプロモーション活動の基盤となります。そのため、バイヤーや消費者に向けて必要な情報を伝えられるよう、事前に整備しておく必要があります。

BtoB向けのプロモーションは展示会や商談会でバイヤーとの接点を作る、BtoC向けであればSNSやECサイトで魅力を発信するなど、ターゲットに合わせて最適な施策を考えていきましょう。


5. 輸出に必要な手続きを行う

輸出にはさまざまな手続きが必要となり、それに伴い証明書などの書類提出が求められます。たとえば、船で商品を輸送する場合、輸出者は次のような「船積書類」を用意します。

● 船荷証券(B/L):船会社が発行する貨物の預かり証書

● インボイス:貨物の送り状を兼ねた代金請求書

● パッキングリスト:梱包明細書

● 保険証券:輸送中の損害に備えて加入した保険に関する書類

 日本の税関では、輸出者名や品目、数量、価格などを記載した「輸出申告書」を、輸出先国では「輸入申告書」を提出しなければなりません。さらに、現地で輸入者が貨物を引き取るためには、「荷渡し指図書(D/O)」などの書類が必要です。

 このように、食品を海外へ輸出する過程では、書類の提出や申告手続きを行う場面が多々あります。輸出をスムーズに進められるよう、あらかじめ必要な手続きを把握し、計画的に準備しておきましょう。

 参考:農林水産省「”地球の歩き方”とのスペシャルコラボ『おいしい日本の届け方』」


事例紹介:小規模事業者が連携で切り拓いた食品輸出

沖縄県うるま市は「もずく」の産地であり、県内シェアのほぼ半数を占めています。しかし、もずくは国内消費が停滞傾向にあることや、安価で取引されていることが課題となっていました。そこで勝連漁業協同組合は、県や市、給食センター、流通事業者などと連携し、もずくを活用した新商品開発に取り組みます。

こうして誕生したのが「もずく餃子」です。肉を減らし、皮にもずくを練り込んだヘルシーな商品で、メディアへの露出などにより認知が拡大し、地元で広く食べられるようになりました。

さらに同組合は、餃子の開発で連携していた事業者の販売網を活用し、中国などへの輸出を開始します。東・東南アジアでは海産物が日頃から食べられているうえ、健康志向の高まりも重なり、「もずく餃子」は現地で日常的に食べられる商品へと成長しました。

この事例では、海外市場のニーズに合う商品を選び、現地の販路を持つ事業者と連携することで輸出を実現させています。小規模事業者でも、工夫次第で輸出に取り組めることを示す好例といえるでしょう。

参考:国土交通省「海外展開による地域振興に取り組むガイドブック」


食品輸出は今、現実的な選択肢に

食品輸出は事前の調査や戦略の検討、各種手続きが必要となるため、決して簡単に取り組めるものではありません。しかし、海外では日本食に対する関心が高まっており、日本の食品輸出は拡大を続けています。地方食品メーカーにとっても、海外市場は新たな販路開拓が期待できる現実的な選択肢となりつつあります。海外輸出への第一歩として、まずは情報収集から始めてみましょう。

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