実践商談ノウハウ
食品規格書の役割や商品規格書との違い、商談前に確認したい記載項目を食品メーカー向けに解説。食品表示・アレルギー表示との整合、提出前の確認項目などもご紹介します。
バイヤーとの商談では、味や価格だけでなく、商品に関するさまざまな情報が重要な判断材料になります。その情報を伝える資料のひとつが「食品規格書」です。多くの取引先から提出を求められる書類でありながら、「何を記載すればよいのか分からない」「不備がないか不安」と悩む食品メーカーの担当者は少なくありません。
この記事では、食品規格書の概要を説明したうえで、記載すべき主な項目や作り方、作成時に注意すべき点、提出前によくある不備について解説します。
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【この記事でわかること】
食品規格書とは、商品の名称や原材料、アレルゲン、栄養成分、品質管理基準などの情報をまとめた書類です。卸先や小売店などの取引先が、商品情報や品質管理体制を確認するために用い、取引条件や提出先に応じて提出を求められます。
食品規格書に記載する項目は、原材料や添加物、アレルゲン、栄養成分、品質・製造規格など多岐にわたります。
なお、食品規格書という呼び方は業界内で統一されているわけではありません。企業によっては「商品規格書」「仕様書」「カルテ」「商品情報シート」など、さまざまな名称で呼ばれることがあります。
書式についても、業界全体で統一されたルールはありません。「SSSP/2014」や「PITS」といった形式が普及しつつある一方、自社独自のフォーマットで作成する場合や、取引先指定のフォーマットに沿って提出するケースもあります。
食品規格書は、取引先やバイヤーが商品情報を正確に把握するための重要な資料であり、商談を円滑に進めるうえで欠かせません。その理由として、次のようなものが挙げられます。
バイヤーが、その商品を販売できるかを判断する材料となるのが食品規格書です。保存温度帯や賞味期限、入り数、サイズを確認し、自社の物流網や売り場の什器に適応するかを見極めます。製造工程や異物混入への対策が詳細に記載されていれば、企業の管理レベルや信頼性を判定する材料にもなるでしょう。
食品規格書は、食品表示ラベルを作成するための資料にもなります。原材料の配合比率やアレルゲン情報などが正確に記載されていなければ、表示ミスにつながりかねません。取引先がその商品を原材料として別の商品を作る場合にも、規格書の情報が表示作成の土台となります。
また、食品規格書はデータベースの機能も持ち合わせています。レシピや製造工程の実態と相違がないかを確認するチェックツールとなるほか、問い合わせへの迅速な対応にも役立つでしょう。原材料を切り替えたときや、食品表示に関する法令が改正されたときも、食品規格書を確認すれば、どの商品の表示を見直すべきかをすぐに判断できます。
食品規格書には、大きく分けて以下の項目が記載されます。
ここでは、それぞれの項目について詳しく解説します。
商品を特定するための情報や、物流・保管に関する情報です。具体的には、正式な商品名やJANコード、商品画像に加え、荷姿規格や賞味・消費期限、保存温度帯、製造者・販売者の名称や住所といった企業情報、食べ方や調理の仕方などの使用方法を記載します。
各原材料の名称や配合比率、産地、遺伝子組換えの有無などを記載します。配合比率は、合計が100%になるように記入します。加工品を使用している場合は、取引先の指定書式や確認目的に応じて、2次原材料についても詳細に記載します。添加物についても、物質名や使用目的、キャリーオーバーに該当するかどうかを明記します。
法令で表示が義務付けられている特定原材料と、表示が推奨されている「特定原材料に準ずるもの」について、食品に含まれるかを記載します。2026年4月には、カシューナッツが特定原材料に、ピスタチオが特定原材料に準ずるものに追加されました。対象品目は改正される場合があるため、規格書作成時は消費者庁の最新情報を確認しましょう。遺伝子組換え対象農産物については、使用有無や分別流通管理の状況(分別・不分別など)を記載します。
食物アレルギー表示については、以下の記事で詳しく解説しています。
適切な表示で食の安全性を高めよう!食物アレルギー表示のポイントを解説
食品表示基準に基づき、容器包装に入れられた一般用加工食品などでは、原則として熱量(エネルギー)・たんぱく質・脂質・炭水化物・ナトリウム(食塩相当量で表示)の5項目の表示が義務付けられています。「カルシウムが豊富」「糖質オフ」などの強調表示をする場合は、消費者庁の定める基準値を満たしていることを示す根拠資料もあわせて用意しておくと安心です。
製造工程や品質規格、包材に関する情報は、すべての取引で一律に必須とは限りません。しかし、工場の管理レベルや製品の安全基準を示す項目であるため、取引先の指定に応じて記載することが大切です。
具体的には、製造工程の管理項目や管理基準、金属探知機の使用有無や数値基準、ウェイトチェッカーの上限値・下限値、コンタミネーションに関する情報、ヒ素やカドミウムの含有基準、微生物規格などを記載するとよいでしょう。
なお、微生物規格については、まず食品ごとに適用される公的な規格基準があるかを確認しましょう。たとえば、加熱食肉製品(包装後加熱)には「大腸菌群陰性、クロストリジウム属菌1,000個/g以下」という基準があります。食品規格書では、適用される規格基準を満たす管理値を設定し、必要に応じてより厳しい自社基準を併記します。
食品表示について詳しくは、以下の記事も参考にしてください。
安心を届けよう!地方食品メーカーが知っておきたい食品表示の最新トピック【2025年秋】
食品規格書、食品表示ラベル、商品提案書の内容にズレが生じないことは、食の安全の確保、法令遵守、取引先との信頼維持のために重要です。
食品表示ラベルは、食品規格書に記載された情報をもとに作成されます。表示に誤りがあれば、食品表示法に基づく指示・公表や罰則の対象となる可能性があるため、食品規格書の情報は常に正確でなければなりません。
食品規格書と食品表示ラベルが食い違うと、トラブルをまねくおそれがあります。たとえば、アレルギー表示に誤りがあれば健康被害につながりかねません。保存温度などの記載ミスは、温度管理の不備による腐敗など、食品事故の原因になりえます。
また、商談で使う商品提案書と食品規格書の不一致も、ビジネス上のリスクとなります。バイヤーは提案書に記載された原材料やアレルゲン、温度帯、賞味期限などの情報をもとに販売計画を立て、社内共有にも活用します。そのため、情報の精度が低ければ導入後の計画が狂ってしまい、信用問題に発展することもあるのです。
食品規格書と商品提案書の内容に一貫性を持たせることで、取引先からの質問にもすばやく正確に対応でき、企業の信頼向上につながります。書類間のズレをなくすために、すべての書類を常に最新情報に更新しておくことを心がけましょう。
食品の商品提案書の作り方については、以下の記事を参考にしてください。
食品の商品提案書の作り方|バイヤー商談で必要な情報とチェックリスト
食品規格書では、次のようなミスがよく見られます。取引先に提出する前に、必ずチェックしておきましょう。
【入力ミス・データの不整合】
【原材料・アレルゲン情報の不備】
【品質・製造規格および法令への不適合】
商品の販売機会を逃さないためにも、卸先やバイヤーから求められた際に提出できるよう、食品規格書を準備しておきましょう。食品規格書が整ったら、その情報を活かして「バイヤーズキッチン」に登録してみませんか。
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食品規格書で整理した情報の多くは、商品登録に必要な情報の整理にも活用できます。登録画面に合わせて内容を確認・入力し、商談に向けて整えた情報を次の販路開拓に役立ててみてください。
ここでは、食品規格書についてよく寄せられる質問に回答します。
原材料や配合、製造工程、包材、賞味期限、食品表示などに変更があった場合は、その都度更新します。変更がない場合も定期的に見直し、法令改正や取引先の書式変更、原材料情報の更新が反映されているかを確認しましょう。更新日と変更内容を記録しておくと、社内外で最新版を共有しやすくなります。
食品規格書は、原材料やアレルゲン、栄養成分、製造工程など、商品の詳細な仕様をまとめた書類です。一方で、商品提案書は商談の場でバイヤーに商品の魅力を伝えるための資料であり、価格やターゲット、販促内容など、販売に必要な情報を中心にまとめられます。
商品提案書にも原材料やアレルゲンなどの情報は記載されるため、食品規格書と内容が一致しなければ、トラブルの原因になりかねません。両者の内容にズレが生じないよう、食品規格書の情報をもとに商品提案書を作成することが重要です。
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