実践商談ノウハウ
食品OEMとは、自社ブランドの食品製造をメーカーに委託する方法です。PB開発・ODMとの違い、メリット、メーカーの選び方、費用・ロット・契約の注意点を解説。依頼前の準備から商品製造後の販路開拓・商談準備まで紹介します。
「自社ブランドの商品を作りたい。でも、何から準備すればいいのかわからない」と感じている事業者からのご相談をいただくことがあります。
よく壁になりやすいのは、製造の過程です。アイデアはあっても、アイデアを形にするためには製造体制を構築しないといけません。
ですが、食品OEMを活用すれば、ゼロから製造体制を整える必要はなくなります。専門メーカーの設備と知見を借りながら、自社ブランドの商品を形にできるためです。
この記事では、食品OEMの基本やPB開発・ODMとの違い、メーカーの選び方、注意点、商談前の準備を解説します。
※この記事は10分で読めます
【この記事でわかること】
食品OEMとは、自社ブランドの食品の製造を外部メーカーに委託する方法です。OEM(Original Equipment Manufacturing)は、他社ブランドの製品を製造すること、またはその製造を担うメーカーを指します。
商品の企画や販売、プロモーションは依頼側が担い、OEMメーカーに製造を委託するのが基本です。ただし、レシピ開発や原材料調達を支援するメーカーもあり、対応範囲は委託先によって異なります。
食品OEMの流れは次のとおりです。
食品業界では、飲食店やEC事業者などのオリジナル商品づくりや、特産品を活かした「地域ブランド」の商品開発にも活用されています。製造設備を持たなくても商品化に踏み出せる点が、食品OEMの魅力です。
地域商品開発の進め方は、こちらの記事が参考になります。
地域の強みを活かす!異業種コラボで生まれた新商品の事例4つを紹介
食品ODM(Original Design Manufacturing)とは、商品の企画・開発から製造までを委託する方法です。OEMが製造の委託を中心とするのに対し、ODMではメーカーが企画やレシピ開発から携わります。
PB(プライベートブランド)は、スーパーやコンビニなどの小売業者や流通業者が、自社独自のブランドとして企画・販売する商品です。製造は自社工場で行うほか、食品OEMやODMで委託するケースもあります。
つまり、PBは「誰のブランドで販売するか」、OEM・ODMは「製造や開発をどう委託するか」という違いです。PB開発に食品OEMを利用でき、互いに対立する選択肢ではありません。
食品OEMと食品ODM、PBの主な違いは次のとおりです。
※レシピ等の権利・利用範囲は契約等で確認します。
食品OEMは、商品のコンセプトやレシピを自社で決め、製造を任せたい場合に向いています。食品ODMは、商品のアイデアをもとに開発から任せたい場合に活用されます。名称だけでなく、実際の分担を確認しましょう。
PB開発では、顧客のニーズを反映した商品づくりが重要です。
食品OEMには、主に次の4つのメリットがあります。
自社で製造する場合、工場や設備の整備、人材の確保に多額の資金が必要です。食品OEMなら、メーカーの設備や人材を活用でき、設備投資の負担を抑えられます。小ロット対応のメーカーならスモールスタートも検討できます。
原材料の調達や製造ラインの管理、検品・包装などを、契約で定めた範囲でOEMメーカーに委託できます。その分、パッケージデザインや営業、プロモーションなどに自社のリソースを注げます。
OEMメーカーの設備やノウハウを活用でき、自社で機械や技術をそろえるよりも商品化を早めやすくなります。ただし、試作や保存試験、資材調達に必要な期間は事前に確認しましょう。
食品の製造には、衛生・品質管理や食品表示の知識が必要です。OEMメーカーの専門的な知見を借りられますが、表示内容や品質について、依頼側が確認すべき範囲も明確にしておきましょう。
食品OEMは製造を他社に委ねるため、事前のリスク管理が重要です。主な5つの注意点と対策を解説します。
異物やアレルゲンの混入が起きれば、自社の信用が失われます。FSSC 22000やISO 22000などの認証は管理体制を確認する目安ですが、安全を保証するものではありません。原材料の管理、検査やロット追跡の体制を確認し、試作段階でも品質を十分に確認しましょう。
自社のレシピを開示する際は、他社商品への転用や情報漏えいに注意が必要です。不良品や異物混入が起きた際の責任の所在を決めていなければ、回収や返金の対応も遅れかねません。
秘密保持契約(NDA)を結んだうえで、レシピなどの権利帰属・利用範囲、再委託の条件、類似品の取扱いを契約書に明記しましょう。トラブル時の責任範囲や費用負担のルールも、事前に取り決めておく必要があります。
小ロットでは製造単価が上がる場合があります。一方、大ロットで単価を下げても、売れ残れば保管・廃棄費用が発生します。複数社から同じ条件で相見積もりを取り、試作費、量産単価、資材費、物流費まで比較しましょう。賞味期限内に売り切れる数量と保管場所も確認が必要です。
原材料の調達遅れや他社案件との重複によって納期が後ろ倒しになることがあります。リードタイムに余裕を持たせ、発注数量や納品時期を定期的にすり合わせましょう。遅延時の連絡・対応方法も決めておきます。
自社に必要な営業許可・届出は、扱う食品や販売・保管方法によって異なります。製造を委託しても、販売側の手続きが不要とは限りません。容器包装に入れた加工食品は、原材料名やアレルゲン、期限、保存方法などの表示を確認します。EC販売では、特定商取引法に基づく表示も確認しましょう。
営業許可・届出は管轄の保健所に、食品表示は消費者庁の最新資料や専門家に確認しましょう。表示の作成・確認を誰が担うかも取り決めます。
食品OEMメーカーの選び方では、価格だけでなく次の条件を比較しましょう。得意分野と製造実績、希望する原材料・加工方法への対応、最低ロットと納期、品質管理体制、開発や表示の支援範囲、契約条件が主な確認項目です。たとえば冷凍惣菜なら、冷凍設備や物流への対応も必要です。同じ仕様で見積もりを取り、試作品を確認して選びます。
商品化をスムーズに進めるには、問い合わせ前に自社の希望条件を整理することが重要です。正確な見積もりや実現性の高い提案を得るため、未確定の項目も含めて以下を共有しましょう。
【商品について】
【数量とコストについて】
【販売とスケジュールについて】
【契約条件について】
【許認可について】
売り場での見え方を左右するパッケージについては、こちらをご覧ください。
食品パッケージデザインの基本|売れるパッケージの条件と見直しポイント
商品は完成がゴールではありません。製造前から、どこで、誰に、どうやって売るかを設計しておきましょう。
他社の売り場に商品を置いてもらうには、小売店や卸売業者の仕入れ担当者であるバイヤーへの提案が必要です。接点を持つことで、自社の営業力だけでは届かない売り場への展開が期待できます。
バイヤーと出会う手段には、展示会、自治体や商工会の商談会、オンラインのマッチングサイト、店舗への直接営業などがあります。
商談では商品の特徴に加え、安定供給や売り場への適合性も見られます。食品規格書や提案資料に、卸価格、納品単位、温度帯、納品時の残存賞味期限、供給可能量を整理しましょう。
相手企業を調べ、自社商品を扱う利点を伝えましょう。商品カタログや価格表、試食サンプルを準備し、新規取引かテスト導入かというゴールも決めておきます。
販路開拓の進め方は、こちらを参考にしてください。
食品メーカーの販路開拓方法|地方食品メーカーがバイヤーとつながる基本ステップ
商品提案書は、以下の記事で詳しく解説しています。
食品の商品提案書の作り方|バイヤー商談で必要な情報とチェックリスト
食品OEMなら、製造設備がなくてもオリジナル商品を形にできます。品質や契約、ロット・在庫の条件を確認し、販売まで考えておきましょう。
他社の売り場に並べるには、まずバイヤーとの接点を持つことが大切です。
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費用は大きく初期費用と製造単価に分かれます。試作開発費、パッケージの版代、必要に応じた分析・保存試験の費用などがかかります。原材料や容量、ロット、包材で変わるため、一律の相場では判断できません。同じ仕様で複数社に見積もりを依頼しましょう。仕様変更や再試作時の追加費用も確認が必要です。
小ロットに対応するOEMメーカーは存在します。ただし、最低ロットや単価は商品・設備によって異なります。
既存レシピや既製容器を使うと、開発費や資材の最低発注数を抑えられる場合があります。食品の製造ロットと包材の発注ロットは別々に確認しましょう。
販売見込みと賞味期限を踏まえ、対応可能な数量をメーカーに確認しましょう。
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