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【前編】牛タン・ずんだだけじゃない! 食材の価値を高める循環をつくりだす 『食材王国みやぎ』宮城県の取り組み

想いのバトン

【前編】牛タン・ずんだだけじゃない! 食材の価値を高める循環をつくりだす 『食材王国みやぎ』宮城県の取り組み

~SMTS2023宮城県ブースPR企画~
東北地方の南東部に位置し、太平洋に面した海や山、大地のもとで育まれた豊かな食材が魅力の「食材王国みやぎ」を掲げる宮城県は、2023年2月15日(水)~17(金)幕張メッセで開催される『スーパーマーケット・トレードショー2023(以下「SMTS」)』に出展します。今回は宮城県庁にお伺いし、宮城県の多彩な食をPRする県職員の方へ“県としての食産業振興への取り組みや想い”についてインタビューを行いました。(インタビュー日:2022年12月13日(火)) 本記事は前後編2部構成に渡ってお届けします。


【宮城県農政部 食産業振興課 食ビジネス支援班 主査(副班長) 佐藤 祐介 様】(左)
【宮城県農政部 食産業振興課 食ビジネス支援班 技師 水戸 裕也 様】(右)
今回は、食産業振興課3年目の主査(副班長)・佐藤様と、1年目で技師の水戸様にお話をお伺いしました。 水戸様は農業の技術職として気仙沼の農業改良普及センターなどで6年ほど技術指導をされていた経験もあります。

前編では、宮城県様の業務内容や取り組みを中心にご紹介します。


県全体で連携する価値を高める取り組み

──食産業振興課の業務内容を教えてください。

[佐藤]

我々がいる食産業振興課では『みやぎの食材バリューチェーン構築プロジェクト』に取り組んでいます。どのような取組かといいますと、食材の生産者から加工を行う食品製造業者、出荷・流通を担当する卸売業者、直接消費者に販売する小売店、そして最終消費者のお客様へ届くという食品流通の中で、“それぞれの段階でより選ばれ、選ばれ続ける商品にしていく”ために、食品製造業者が行うマーケティングに基づいた商品開発や販路開拓の支援などを行っています。


[佐藤]

実際、我々も、食品製造業者さんから“何か●●のような食材はないですか?”と尋ねられることが実は多いんです。最近の例でいうと、宮城県は水産も強い県ではあるんですが、獲れる魚が年々変わってきていたり、今まで、獲れていたものが、獲れなくなってきていたりすることが増えていて、魚だけを加工するのではなく野菜などと一緒に加工することで、“商品のブラッシュアップを図り、付加価値を高めたい”という水産加工業者さんが多くなってきました。
例えば、水産加工業者さんは、水産物を取り扱うプロではありますが、ジャンルが異なる野菜などを調達するルートが確立されていない場合があります。そういった各製造業者さんが困っていることなどを伺って、我々の方で生産者と繋いだり、野菜を取り扱っている食品製造業者さんとマッチングしたりしています。県内産のものをうまく加工して、県内全体で商品の付加価値を高め循環できるような仕組みを作れればな、と。


──地域で食品製造力を高めて価値を作り販路を開拓する……まさに“バリューチェーン”ですね。

[佐藤]

そうですね。例えば規格外野菜のような“価値がない”とみなされ捨てられてしまう、0円だったり処分費用がかかってしまうようなものを、食品製造業者さんに扱ってもらうことで10円、20円として、それをさらに魚と一緒に加工することで100円、200円にする。流通させて消費者に販売するときには500円、600円まで価値を上げる。といったように元々の価値が低かったものに付加価値をつけて消費者にいいものとして届けられればいいなと思います。

──すごく大切な取り組みですね。佐藤さんと水戸さんが所属されている食ビジネス支援班では商談会の企画運営もされていますね。

[佐藤]

はい。当課では今、主に2つの商談会に参加しています。ひとつは毎年2月にあるSMTS、もうひとつは山形県などと合同で秋口の10月・11月に開催する『宮城・山形合同商談会』です。こちらは、開催県が交互に事務局を務めていまして、2022年は山形県で開催したので、2023年は宮城県で開催する予定です。


[水戸]

宮城・山形合同商談会だと、大体80社ぐらいの事業者さんが出展していて、仕入れのバイヤーさんも同数ぐらい。バイヤーさんは宮城・山形の地元の方が半数、首都圏の方が半数ぐらいの割合で参加いただいています。首都圏のバイヤーさんにも現地会場まで来ていただく形で商談会を開催しています。


2022年11月に開催した宮城・山形合同商談会の様子。同会場内で商談ブースと展示ブースを設け、様々な形で商談の場を提供している。
2022年11月に開催した宮城・山形合同商談会の様子。同会場内で商談ブースと展示ブースを設け、様々な形で商談の場を提供している。

──首都圏に強いバイヤーさんと地元に強いバイヤーさん、どちらとも商談ができるのは事業者さんにとっても良いですね。

[佐藤]

SMTSであればバイヤーさんもある程度規模が大きい卸会社さんや小売店などがメインになってくると思うので、県としてはメインのバイヤーさんとマッチするような事業者さんに出展していただく。宮城・山形合同商談会であれば、そのような事業者さんに加えて『最近、食品加工を始めました』とか、『地元でもまだ埋もれていて、なかなか知られていない』とか、そんな事業者さんにも出展していただいて、各事業者さんに合ったその商談の場と販路を提供できればと思っています。


経営から販売、ブランド化まで
現場で話しながら一緒に進める支援

[水戸]

あとは今、食品製造業者さんの経営改善支援もさせていただいていて、その中で『この事業者さんはこういった商談会が合っている』といったアドバイスや、場合によってはその出展経費もサポートさせていただいています。

──経営のところまでサポートをされているんですね。直接訪問されてお話されることも多いんですか?

[佐藤]

そうですね、専門家の方と一緒に取り組んでいます。一例としては、最近は人の流れが増えてきているのである程度お土産の需要も回復していますが、新型コロナの影響により、これまで観光客をターゲットにしたお土産商品をメインで扱っていた事業者さんは、売上が非常に落ち込んだ状態が続いたので、やっぱりそれだけじゃない別の柱を作っていきたいところがあって。じゃあそのお土産商品を業務用の商品として展開してみるのはどうだろう、といった専門家の方のアドバイスをいただきながら一緒に進めています。


──お土産商品から業務用となるとこれまでの商品づくりと考え方が全然違うと思うので、事業者さんもそういったサポートがあるのは安心ですね。

[水戸]

ほかにも、今までは催事をメインでやってきたけれど、催事の機会が激減して新たに営業に力を入れなければいけないという事業者さんなど。そういった事業者さんに対しては、組織体制の見直しや強化などについても助言しています。

[佐藤]

今、話に出た催事などでは、賞味期限が短い商品でもその場で購入してもらいやすいですが、小売店向けなどになるとその賞味期限の短さがネックになってくるものも多い。添加物が入っていないから短いんですけど、こういう問題をどう解決していけばいいのか、事業者さんと専門家の方の話を聞きながら一緒にサポートしています。


実際の訪問支援の様子。オンラインツールも活用しながら会議を重ねている。
実際の訪問支援の様子。オンラインツールも活用しながら会議を重ねている。

──食産業振興課の他の班でも、また違う形でサポートされていたりしますね。

[佐藤]

はい。百貨店で宮城物産展を開催して販売支援を行っている班もありますし、せり、メカジキ、いちご……など、食材のブランド化を推進している班もあります。ブランド化をすることで、認知度が高まり、需要も高まれば生産現場の意識なども少しずつ変わってくると思います。

[水戸]

ブランド化をするときにはその食材の料理への活用方法や加工の仕方なども合わせて提案しながら認知度向上を目指しているので、活用の幅を広げるというところも大事にしています。

[佐藤]

首都圏にある有名なホテルのシェフなどに宮城までお越しいただいて、生産現場を見てもらうツアーを企画したり、その流れで実際に食材を扱ってもらったりもしています。

──直接事業者さんとお話されることや、シェフの方を生産現場にお連れすることなど、“現場に直接出向くこと”を大事にされているんですね。


2023年度版バイヤー向けガイドブックの表紙イメージ。ガイドブック内には県内で製造された多彩な商品が掲載され、どの商品も作り手の想いが感じられる。
2023年度版バイヤー向けガイドブックの表紙イメージ。ガイドブック内には県内で製造された多彩な商品が掲載され、どの商品も作り手の想いが感じられる。
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宮城の食の価値を高めるために日々現場で奮闘されている佐藤様と水戸様。“いいものをより良く、喜ばれる商品にしよう”と、現場の声を大切にした商談機会の創出や商品開発支援に取り組まれている様子が印象的でした。
後編では、宮城の食の特長や、SMTSブースの出展商品、今後の展望についてお伺いします。
【後編】牛タン・ずんだだけじゃない! 食材の価値を高める循環をつくりだす 『食材王国みやぎ』宮城県の取り組み



■第53回スーパーマーケット・トレードショー(SMTS2023) 開催概要
会 期:2023年2月15日(水)16日(木)17日(金)10:00~17:00(最終日は16:00まで)
会 場:幕張メッセ(〒261-8550 千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)

【宮城県ブース情報】
小間位置:地方・地域産品ゾーン11ホール 小間番号10-405
出展社数:20社
出展企業: 1)株式会社阿部善商店
2)株式会社阿部長商店
3)井ヶ田製茶株式会社
4)石越醸造株式会社 【初出展】
5)魚喜久水産株式会社
6)株式会社カネタ・ツーワン
7)
株式会社木の屋石巻水産
8)
株式会社陣中
9)水月堂物産株式会社
10)
末永海産株式会社
11)株式会社だい久製麺
12)有限会社ファーム・ソレイユ東北 【初出展】
13)株式会社フクベイフーズ
14)マルヤ水産株式会社
15)株式会社山形屋商店
16)山田乳業株式会社
17)株式会社横田屋本店
18)WIDEFOOD株式会社
19)
有限会社川口納豆
20)有限会社氏家農場 【初出展】
(※順不同)


宮城県ブースイメージ。緑で統一された明るいブースと宮城を代表する伝統行事”仙台七夕まつり”の飾り物が目印!
宮城県ブースイメージ。緑で統一された明るいブースと宮城を代表する伝統行事”仙台七夕まつり”の飾り物が目印!



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